動画(ビデオ)を見た後、その内容を説明する?
- 公開日
- 2012/07/12
- 更新日
- 2012/07/12
授業ワンポイントアドバイス
実際には見ることが難しい天体の動きや過去の映像などを見せるのに、動画(ビデオ)は威力を発揮します。よい教材が増え理科や社会では活躍する機会も増えていると思います。しかし、子どもは集中して見ているようですが、意外にその内容は理解していないことがあります。子どもたちの気づきを共有化して、その場面を確認しようとしても、動画ゆえに難しいところもあります(動画の活用の注意点参照)。そこで、つい教師が確認の意味でその内容をもう一度説明することがあります。これでは、動画を見せただけ時間が余分にかかり、子どもたちの活動の時間がなくなってしまいます。どんなことに注意をすればいいのでしょうか。
「○○についてのビデオを見よう」では、子どもたちは漫然と画面を眺めてしまいます。まず、子どもたちに疑問を持たせる必要があります。この動画を見ることで、どんな疑問を解決しようとしているのかを明確にしておくのです。目的・目標を持たせると言い換えてもよいでしょう。子どもたちに仮説を持たせ、その答を動画から見つけるのもよい方法です。目に見える形で黒板やノートに残すようにすると明確になります。また、見た後の活動も伝えておく必要があります。「あとで、○○の理由を聞くからね」「○○についてみんなの考えを聞くからね」と指示しておくと意識も変わってきます。
小学校の高学年以上であればメモ取るように指示することも大切です。何が大切かを意識して見るようになります。教師は子どもと一緒に画面を見ているようではいけません。内容を事前に知っているのですから、子どものようすを見ることに専念できるはずです。子どもはどこに反応しているか、どこでメモを取っているか。この情報がその後の展開に生きてきます。
「○○さん、△△の場面でうなずいていたけど、どういうこと」「□□の場面でメモを取っていたけど、どんなことを書いたか聞かせてくれる」と内容の確認や気づきの共有化のきっかけになります。
動画を見せても理解できていないと感じたなら、教師が再度説明するのではなく、子どもたちに内容を問いかけて答えさせればよいのです。もし、答えられないようであれば、意識して見てはいなかったということです。1度は、もう1回見せてもよいかもしれません。次回からは意識が変わるはずです。また、動画を見た後その内容について話し合うことが常態化していれば、自然に意識して見るようになります。
どんなに優れた動画でも、見る必然性を持たせないと子どもは受け身の時間を過ごすことになります。教師が積極的にかかわり、動画の内容をもとに考えさせる場面をつくることで初めて動画は生きてくるのです。動画を見る前後にどのような働きかけをし、どのような活動をさせるか、再生中には何に注目するか。このことを明確にした上で活用してほしいと思います。