日記

授業の無駄な時間を考える

公開日
2012/07/17
更新日
2012/07/17

授業ワンポイントアドバイス

授業を見ていると、この時間は無駄だと感じる場面があります。その多くは子どもが考えていない時間です。授業中の無駄な時間について考えてみたいと思います。

無駄な時間と感じる場面で多いのは、答え合わせの時間です。
問題演習の答え合わせで、子どもが順番に答を言って、他の子どもが「いいです」「ちがいます」と判定する場面が典型です。自分の答と同じであるかどうかの確認をして、間違えた子どもは正解を赤で書き込むだけで、どこで間違えたかを考える間もなく、次へといってしまいます。これでは、間違えたという事実だけが残り、どこで間違えたのかを考えることもできません。
英語のヒアリングの結果の確認などでも、正解を発表して、「あっていた人」と聞くだけでは全く意味がありません。間違えた子どもは、正しく聞き取れなかったのか、それとも意味を理解できなかったのか、そんなことすらよくわからないまま時間が過ぎていきます。正解だった子どもも、どこまできちんと理解できていたかはよくわかりません。

計算問題の答のように単純なもの、ほとんどが正解となるものなら、実物投影機などを使って答を映すというのも手です。すばやく確認をして次に進めばいいのです。問題演習をノートに解く代わりに、フラッシュカードで全体練習にするという方法もあります。
隣同士で確認し合うという方法もあります。このとき、互いの答が違っていれば、もう一度それぞれやり直して再度確認したり、互いに説明しあったりするといったルールをつくっておくといいでしょう。子ども同士だけでは不安なら、後で教師が素早く答を言って確認してもいいでしょう。全員がほとんど正しい答になっているので、時間をかけなくても大丈夫なはずです。確認をした後、隣との確認で間違いを直せた子どもを数人指名して、どこで間違えたかたずねたり、直せたことを評価したりするとよいでしょう。
ヒアリングの例であれば、子どもに聞きとった文を復唱させたり、その内容を言わせたりする。教師が正解を言った後、もう1度聞かせて、できなかった子どもに聞き取れたか、聞き取れたら内容が理解できたか確認するなど、できた子どもには根拠を求め、できなかった子どもにはできるようになるための活動をすることが必要になります。

また、意外に思うかもしれませんが、子どもに意見を言わせる時間が無駄だと感じることもよくあります。大きく2つの場合があります。
1つは、子どもに根拠を求めていない場合です。ただ思いつきで無責任に発言しているだけですから、学級のテンションは上がっていきます。このあと、落ち着いて考える状態をつくるのに苦労するだけで、子どもたちの学びにはつながっていきません。発言に根拠を求める姿勢が大切になります。
もう1つは、子どもの発言を他の子どもたちが聞いていない場合です。教師は一生懸命に聞いているのですが、他の子どもは聞くことを無駄と判断しているのです。多くの場合、このあと教師が発表者の発言を判断して、よい発言と判断した場合はもう1度教師の言葉で丁寧に説明する、そうでなければ次の子どもに発言を求めます。教師の説明を待っていれば、必要な情報は手に入るのですから、友だちの発言を聞くことは無駄なのです。
この場合、友だちの発言を聞くことが無駄でないようにする必要があります。発表の後、教師がすぐに説明するのではなく「○○さんの意見、もう1度言ってくれる」と友だちの発言を聞いていることを評価する、「同じ考えの人いる」「今の意見、なるほどと思った人いる」「○○さんの考えを、説明してくれる」とつなぐ、こういったことが必要になります。

授業をちょっと振り返ってみてください。なんとなく惰性で進めている活動がないでしょうか。この時間に子どもたちが何をしている、何を考えているのだろうか。それは、本当に意味のあることなのか、無駄ではないのか。そんなことを考えてみてほしいのです。無駄な時間と思えるものがあれば、その時間が無駄でなくなるような工夫を考えてみてください。きっと授業がよい方向へ変わっていくと思います。