意欲・関心を練習量で評価する?
- 公開日
- 2012/10/10
- 更新日
- 2012/10/10
授業ワンポイントアドバイス
相対評価から絶対評価に移行したころから、子どもの意欲・関心を練習量で評価することが増えてきたように聞きます。たとえば、漢字の練習を何回やったか、算数の計算ドリルを何回やったか、その量で評価をするのです。確かにたくさん練習をする子どもは意欲があると言えるのですが、本当にそれでよいのでしょうか?
練習は何のためにするのでしょうか。もちろん、定着のためです。その目的を忘れて手段のみに目をうばわれてしまうと本末転倒です。往々にして、すでに定着している子どもほどたくさん練習をするというおかしなことになってしまいます。漢字をしっかり覚えた子どもがその漢字を何回も練習することや、計算ができる子どもが同じ計算を何回もやるのは無駄な努力です。そんなことより、新しい漢字を覚えたり、新しい問題に挑戦したりする方が意味があります。一方、定着していない子どもは、練習量だけを評価すると何回書いたから、やったから勉強したと考えるようになってしまいます。結果を問わない姿勢では学力はつきません。練習量はあくまでも手段の評価でしかないことを忘れてはいけません。
目標へ向かっての結果と到達するための手段を明確にし、個人の進歩を意識する必要があります。たとえば、漢字は今まで学習したことで試験をしなければいけないということはありません。ちょっと手間かもしれませんが、あらかじめ漢字の出題範囲をいくつかに分け、範囲ごとに小テストをつくっておき、合格すれば次のテストに挑戦するという方法もあります。小テストに合格していくことが目標になります。そして、そのためにどれだけ練習したか残させるのです。意欲・関心はどの漢字を練習したかにかかわらず、練習量で評価することができます。また、合格した絶対数は少なくても、2学期は1学期よりたくさん合格したのであれば、個人内の進歩は評価できます。このことを意欲・関心として評価してもよいのです。個人内相対評価は絶対評価と違うと考える方もいらっしゃるかもしれませんが、伸びたということは意欲・関心があると考えてよいはずです。
算数であれば、たとえば一定時間にどれだけできたかの数を目標にすることと、ドリルの練習量を連動させることで同じように評価できると思います。
教科にかかわらず、子どもたちが進歩を実感できるような目標とその達成のための手段・方法を明確にして子どもたち提示することが大切です。結果につながる努力は子どもたちの意欲を高めることにつながります。結果と手段の双方を常に評価することが大切です。評価のための評価でなく、子どもたちが成長するための評価を意識し、工夫してほしいと思います。