日記

会議に参加して考える

公開日
2012/10/15
更新日
2012/10/15

独り言

先日は授業力アップの研修会についての会議に参加しました。10年続いた研修会の次の10年の方向性とそれをもとにした研修の進め方についてです。

参加者はスタッフとして研修会を支えてこられた方です。10年の流れの中で初期のメンバーは立場が変わり、スタッフとして仕事をすることがなかなか難しくなってきました。そこを支えてくれたのがこの日多くを占めていた若手・中堅の方々でした。まだ確固とした自信が持てない中で、一生懸命に参加者へのアドバイスやコメントもしてくれました。彼ら自身が学びたい、進歩したいという強い思いを持っていますが、そこをこらえてスタッフとして会を下支えしてくれています。しかし、インプットよりアウトプットの方が多くては精神的に続きません。次の10年は、かかわる人みんなが学べることを大切にした、学習会の要素が強いものに変えていくことが提案されました。この方向性はとてもよいものだと思います。学びたい思いの強い方が集まっていますので、皆さんに受け入れらるものでした。

続いて来年早々におこなう会の内容について提案がされました。提案以外にも、進め方については色々な方法が考えられます。なぜこの進め方なのか、参加者に提案者の意図がなかなか伝わりません。そこで、「目的は何か」、「そのために参加者がどうなることが必要か」、「そのための手立ては何か」、こういったことを提案者に聞き返しました。「参加者が再レベルアップする」という目的に対して、「参加者の今までの授業・授業観をこわす」ことが必要という説明がされました。「こわす」という象徴的な言葉だったため、そのための具体的な手立てについては厳しく迫るイメージで議論が進んでいってしまいました。模擬授業を先にすることで「こわす」か、先に指導案の検討をすることで「こわすか」という選択になったところで、次のような意見が出されました。

「事前に指導案の検討をして授業についての考えを深めてからの方が模擬授業の質があがり、それに対して指摘し合う方がよりよい学びができる」

「こわす」ための手段として何が有効かという視点ではなく、より効果がある進め方という視点での意見です。事前に他者の考えを聞いて自分の考えを修正してからおこなった方がよりよいところから出発ができるし、失敗も少なく指摘も受け入れやすいというやさしい考えです。この意見に会場全体が救われました。実は提案者の思いもこれに近いものでした。ところが「こわす」という言葉にこだわって話を進めたため、それ以外の視点が議論から失くなってしまっていたのです。「こわす」という、わかりやすいが参加者に厳しい視点から、もっと早くに離れることが必要だったということです。

考えを明確にし議論を円滑に進めるためには、端的な言葉で表現し焦点化することは大切ですが、少し離れた視点で議論全体を見る必要もあります。焦点化と拡散のバランスが大切なのです。授業でもいえることです。このことに気づかせてくれた意見でした。とても勉強になりました。ありがとうございました。

最後の素敵な意見を取り入れることで、2日間の学習会はきっと和やかで学びの多いものになることと思います。楽しみな会がまた一つ増えました。