子どもに自信を持たせる!?
- 公開日
- 2012/10/17
- 更新日
- 2012/10/17
授業ワンポイントアドバイス
授業中に子どもの挙手が少ない。特定の子どもしか発言しないというときによく先生方から聞かれる言葉が、「子どもに自信を持たせる」です。自分の考えや答を持っているのに挙手・発言ができないのは子どもに自信がないためだと考えているからです。その根底には、間違えて恥ずかしい思いをしたくないという子どもの気持ちがあります。教師は子どもの発言を引き出すためには「自信を持たせる」ことを意識すればよいのでしょうか。このことについて考えてみたいと思います。
自信を持たせるために、あらかじめ机間指導で○をつけたり、「よい考えだから発表してね」と教師が働きかけるといったかかわりが求められます。(子どもの挙手を増やすには参照)
ここで考えてほしいことは、だれもが発言できるようにするためには、全員が○にならなればいけないということです。もし、○がもらえない子どもがいれば、やはりその子は発言できません。ほとんどの子どもの手が挙がっているのですから、傷はより深くなります。また、○をもらって挙手して答を言えても、その理由を問われると言葉に詰まってしまうことがあります。せっかく正解しても、ダメだったと自信をなくすことにつながります。こういったことを忘れないでほしいのです。
もう一つ注意しなければいけないのは、正解しか発表されなくなってしまうことです。ますます自信がなければ発言できなくなってしまいます。間違いが発表されることで考えが深まることもあります。異なる答えが出てどちらが正しいか話し合うことで学び合えます。間違いが発表されることは大切なことなのです。
ここで少し発想を変えてみてください。「自信を持たせる」のではなく、「自信がなく」ても発言できるようにするのです。教師が正解を求めない。間違いでも「なるほど」と認めて、子ども自身で間違いを修正する機会を与える。発言すればかならずポジティブに評価されて終わる。間違いをもとにより深く考える。こういう経験を積ませ、間違いは恥ずかしいことではないと気づかせるのです。(子どもの発言を引き出すには参照)
とはいえ、自分の考えを持てなかったり、まったくわからなければやはり発言はできません。ペアやグループで友だちの考えを聞いて、その中から自分が納得する考えを選び自分のものとしていく。「わからないから教えて」と友だちに聞く。こういう活動も必要です。(子どもの発言量を増やす参照)
また、「わかったこと」を聞くのではなく、「わからないこと」「困っていること」を聞くということも大切です。こうすれば、わからない子どもが発言しやすくなります。子どもの「困った感」に寄り添うことができます。しかし、「わからないこと」「困っていること」と聞いても発言するのには勇気がいります。「わからないこと」をバカにしない学級の雰囲気が必要です。また、教師は首をかしげたといった子どものようすをとらえ、「今、首をかしげてくれたね。反応してくれたね。ありがとう。何か困ったことない」と問いかけ、挙手できない子どもが発言するきっかけをつくるような働きかけも意識しなければなりません。(子どもに寄り添う
、「わからないところ」から始める参照)
「子どもに自信を持たせる」ことは大切なことですが、すべての子どもに自信を持たせることは簡単なことではありません。「自信がなく」ても発言できる、参加できる、学べるような働きかけも意識していただけたらと思います。