日記

子ども主体のフェスティバル

公開日
2012/11/12
更新日
2012/11/12

独り言

昨日は、私が関わっている中学校で行われた地域ふれあい学びフェスティバルを見学してきました。このフェスティバルを見学するのも今年で9年目です。そのあり方は色々と変化してきましたが、現在は地域の方のバックアップのもと、子どもたちがイベントや模擬店を運営し地域の方に楽しんでもらう場となっています。

今年は、会場に入ってすぐに雰囲気の変化に気づきました。目立つ人が減っているのです。中心となって動く地域の支援者、PTAの方、先生方、そして頑張っている子どもたち、彼らの姿が見えないのです。だからといって、活気がないわけではありません。表に大人が出ていない分、活動している子どもの姿はいつもに増して多いのです。目にする生徒たちは、何かしらの役割を果たしています。昨年とは漂っている空気が違います(イベントの目指すべき姿参照)。一部の子どもが頑張っているのではなく、どの子も自分のこととして参加しているのです。
子どもたちが、地域の方に喜んでもらう、そのために自分のできることをする。参加された地域の方、特に小学生と接している生徒たちの姿にその意識を感じました。

いつもは忙しくブースの運営をしていた方々と初めてゆっくりとお話をうかがう機会を持てました。
今年は、子どもたちが中心となって運営をすることを大切にされたようです。総合的な学習の時間に地域の方と一緒に活動する経験もしている子どもたちです。今度は、「自分たちが主体となって地域に何ができるか」を考える場としてこのフェスティバルを位置づけたのです。そのために、大人の手がどうしてもたくさん必要なブースは廃止にしたようです。とはいえ、子どもたちだけですべてを運営はできません。地域の支援者が裏方に徹し、下支えをしているのです。子どもたちが自分たちで運営するということは、失敗したりトラブルが起きたりする可能性が高くなります。それを恐れるのではなく、失敗も含めて子どもたちによい経験をさせようというのです。

おもしろいエピソードを聞くことができました。喫茶室ではとても安い値段でコーヒーやホットケーキが提供されています。しかし、最初提案された値段はもっと高かったようです。仕入れ値から計算するとこのくらいになるという説明だったようです。しかし、喫茶室をひらく目的は、お金儲けではありません。少しでも多くの方にくつろいでもらうことが目的です。そのために、どんな努力や工夫をしたのか。仕入れ先を色々探してみたり、つくり方を工夫したりしたのか。そう子どもたちに問いかけたそうです。子どもたちがそれに応えてこの値段になったそうです。
大人の役目は、物理的に助けることだけではありません。子どもたちに考える視点を与え、時には厳しい課題を課すことで鍛え育てるのです。日ごろの授業だけでは学べないことをこのような場を借りて学ばせるのです。
この地区では地域と学校が一体となって子どもを育てていることを強く感じました。

目立たないところで動いている大人と黙々と働いている子どもたちの姿が印象的でした。最後まで見ることはできませんでしたが、終わった時には子どもたちの表情はきっと達成感、充実感で満たされていたことと思います。その子どもたちの姿が、大人たちの笑顔につながったことでしょう。

生徒全員参加の形になって4年目、いよいよ子どもたちが主体となって運営するフェスティバルとなってきたようです。こうなると今から来年が楽しみです。多くの子どもたちが主体的に参加するようになった半面、一人ひとりの絶対的なエネルギーはまだまだ高まる余力を感じました。きっと来年は、どの子も今年以上の力を発揮してくれることと思います。