日記

中学校で講演

公開日
2012/11/21
更新日
2012/11/21

仕事

昨日は中学校で講演をおこなってきました。今年度の努力目標(「基礎・基本の定着、分かる授業への挑戦」‐言語活動の充実を通して‐)達成への各教科の中間報告と質問を読ませていただき、それに対するアドバイスの形を取らせていただきました。

各教科の取り組みはそれぞれに工夫があってよいのですが、学校全体としてこの努力目標をどう達成するかという方向性がはっきり見えませんでした。中学校に多いことですが、教科で視点がばらばらなのです。基礎・基本の充実、わかる授業の実現のために、子どもたちの現状と照らし合わせてどのような言語活動の充実が必要なのかを、学校として明確にしていないのです。
今回は時間も短かったため、皆さんからいただいた質問をもとに、トピック的にお話をさせていただきました。

・言語活動の必然性
教師の求める答えを言うことを求めるのであれば、子どもは発言する必要はありません。だまって、教師の説明を待てばいいのです。子どもにとって言語活動をする意味がありません。子どもの発言が活かされる授業が求められるのです。
教師は結果ではなく、その根拠を問う。
発言者は、相手意識を持ち、教師ではなく友だちに納得してもらえるように根拠を持って話す。
聞く側は、発言者の考えをわかろうとする姿勢を持つ。
子どもが友だちの発言を聞いてわかったことを教師が評価する。
このようなことが大切になります。

・言葉を豊かに
言語活動を豊かにするには、語彙が必要です。言葉を単に覚えるのではなく、活きた場面で使うことが大切です。また、教科用語と日常用語を自由に行き来できることも大切になります。
学んだ言葉を使う場面をつくる。
他者の表現から学ぶ。
日常用語の表現を教科用語で言い直す。
教科用語を自分の言葉で説明する。
このような活動が必要になります。

・イメージ・具体物の言語化
抽象的なことを具体的にするためには言葉で表現することが有効です。また、具体物をどう言語化して伝えるか意識することで、よりよく深く見ることができます。
イメージを言葉で説明する。
視点を明確にして観察し伝える。
作品のよさを言葉で伝える。
こういう活動で、抽象を具体に変える力、具体物を明確に伝える力がついていきます。

・子どもがかかわり合うことが大切
異なる個性、力を持った子どもが一緒に学ぶことに学校のよさがあります。たとえ少人数、習熟度別にしても、教師が授業の中で、わからない子ども全員をわからせるのは難しいものがあります。個別に対応するにも限りがあります。子ども同士がかかわり合うことでわからない子どもがわかるようになり、わかる子どもも教えることでより深く理解するようになります。また、基本となる子ども同士の人間関係をよくすることにも力を入れる必要があります。
ペアでの活動は双方の役割(特に、受け手)を明確にし、相手がいることのよさを実感させる。
「わからないから教えて」と言える子ども、「聞かれたからわかるまで教えよう」とする子どもを育てる。
このようなことが大切になります。

・具体例
皆さんからいただいた質問に対して、できるだけ具体的な場面でお伝えするようにしました。

限られた時間だったこともあり、説明や質問へのお答えが不十分だったことと思います。疑問な点を、先生方自身でどうすればいいのか考え直していただけることを願います。私の話が先生方の取り組みを、よりよいものへと変えるきっかけになれば幸いです。先生方の努力を個人的なもので終わらせずに、互いの成果を全体で共有することで、学校の方向性が収束していくことを期待しています。