日記

明確な視点を持って指示をする

公開日
2012/11/20
更新日
2012/11/20

授業ワンポイントアドバイス

先日知り合いのデザイナーから、こんな話を聞きました。
ある町の古い櫓を取り壊すことになったそうです。そこで、取り壊される前に櫓を見学して絵を描こうということになりました。しっかり観察するように指示しても、教室に戻っていざ描こうとなるとなかなか再現できません。ところが、「櫓のてっぺんの形」「櫓の色」「櫓の高さ」の3つだけ見てくるように指示したところ、どの子も櫓全体をしっかり把握し、驚くほど上手に描けたそうです。3つだけ意識することで、全体像をつかむことができるというのは、とてもおもしろい話です。「形」「色」「高さ」と異なる視点であることが全体を把握するのによかったのかもしれません。

「ていねに」「しっかり」「よく」「がんばる」・・・。教育の現場ではこういう言葉が飛び交いますが、具体的ではありません。

「ていねい」に色を塗るとはどういうことか。境界線をはみ出さないようにまわりを塗ってから、中を塗る。
「しっかり」観察するとはどういうことか。葉の形、縁、色、表面の状態、葉脈がどうなっているかを観察する。

具体的な指示をしなければ、きちんとできるようにはなりません。教師側がねらいを持って明確な視点で指示しなければ、子どもたちは「なんとなく」自分の考える「ていねい」「しっかり」で行動するのです。

ちなみに、櫓の絵の取り組みは評判になり、町の他の学校にも広がった結果、櫓は取り壊されずに別の場所に移転することになったそうです。