日記

中学校の現職教育に参加

公開日
2013/09/10
更新日
2013/09/10

仕事

昨日は中学校で現職教育に参加してきました。若手を中心に授業を観た後、3つの研究授業とその検討会の様子を見せていただき、最後に全体に対して私がお話をさせていただきました。

全体的に感じたのは、どのような子どもの姿を目指しているのかがよく伝わらないことでした。子どもの活動はあるのですが、それが何をねらっているのか、目的や目標が明確でありません。子どもたちの発言が少なく、教師の一方的な説明が続きます。簡単な問いにも挙手があまりありません。子どもたちが発言することに価値を見出していないことが気になります。
子どもたちに対する指示が不明確だったり、確認がきちんとされていない、指示に全員が従っていないのに教師が次の行動をとったりすることも目立ちます。授業を進めることに、より意識がいっているように感じます。子どもが教師を見ていない状態でも話をしている場面に多く出会いました。
また、子どもが作業中に追加の指示やヒントを話すことも常態化しています。子どもが集中をし始めた時に、教師自らが集中を乱す行動をとります。作業が終わったあとの指示もされていないことがほとんどです。終わった子どもが集中力を失くして、雰囲気を悪くしています。

グループでの活動も聴き合うことが中心に置かれていないと感じます。ムダにテンションが上がる場面に多く出会います。子ども同士の人間関係も気になります。かかわれない子どもが目立ちます。男子同士、女子同士で席がくっついていることもあり、男女間のかかわりが少ないのです。子どもたちが、単に解答を求めているだけで、その過程を共有して考えを深めることを意識していません。わかった子ども、できる子どもが仕切る構造になっています。
グループ活動に限らず、子どものわからない、できないから出発していないので、わからない子どもは授業に参加できません。教師が与える答を写しているだけです。一方わかっている子どもは、自分はできるので積極的に参加する必然性がありません。教室全体に参観意欲が感じられないのです。子どもの外化に対してポジティブな評価がまったくと言っていいほどないことも、その原因の一つでしょう。

そこで、全体でのお話は、当初予定していた内容よりも、子どもたちが安心して参加できる授業づくりに比重を置いたものに変えました。まず何よりも、教師が子どもの言葉を聴く姿勢を持つこと。目指す子どもの姿を意識して、そのためにどのような活動が必要か、授業規律はどうあるべきかを考えること。子どもたちに反応を求め、積極的に評価すること。このようなことをできるだけ具体的にお話しました。
先生方にとっては厳しめの話でしたので、反応が気になりましたが、思った以上に前向きに聞いていただけたと感じました。授業中には見られなかった笑顔もたくさん見ることができました。今回の内容は、意識するだけで簡単にできることがほとんどです。この日の若手の体育の授業で、子どもたちがしっかりと先生の方を見て話を聞いている姿を見ることができました。あとで聞いたところ、子どもたちが全員自分を見るまでは話さないようにしているということでした。これだけで、ちゃんと子どもは集中してくれるのです。先生方が少し考え方を変えてみよう、授業の進め方をちょっと工夫してみようとするだけで、子どもたちはきっと大きく変化すると思います。今回のお話がそのきっかけになれば幸いです。

全体の会の終了後、授業を見せていただいた若手の先生方とお話をしました。どんなことを思っているかを一人ひとりに話していただきました。どなたも、私の全体での話を自分のこととして聞いていたことがよくわかりました。とても素直な方たちです。あまり素直に反省の言葉が出るので、かえって心配になるくらいです。大切なことは明日からどうしていくかです。一度にたくさんのことをしようとせず、とりあえず一つでいいので意識して実行してほしいと思います。授業を見られることに慣れていないのか、私が見たみなさんの授業は表情がとてもかたいという印象がありましたが、こうしてお話をしてみるととても素敵な笑顔を見せてくれます。まず、授業中にこの笑顔をたくさん子どもたちに見せることをお願いしました。

先生方が、どんな子どもたちの姿を目指そうか、どんな授業をつくっていこうかともう一度考えてみるだけで、この学校は大きく変わる可能性があると思います。また訪問する機会があることを楽しみにしています。