全員参加の視点
- 公開日
- 2013/12/20
- 更新日
- 2013/12/20
授業ワンポイントアドバイス
子どもたちの発言を大切にしている授業では、子どもたちが活発に挙手する姿が見られます。この時気になるのが、全員が参加しているのかということです。全員参加という視点で、少し授業を考えてみたいと思います。
同時に発言するのは原則1人です。他の子どもたちがその発言を聞いて考えることをしなければ、その時間は参加していないということです。子どもが発言して、その発言を最終的に教師が説明したり、まとめたりするのであれば友だちの発言を聞く必要はありません。自分が発言することが目的化します。自分の考えを発言したい、教師に聞いてもらいたいだけになります。友だちの発表を聞くことができて、初めて全員が参加しているのだという意識を持つことが大切です(「子どもが友だちの発言を聞かない理由」「友だちの発言を聞く意欲を高める」参照)。
子どもの発言に対して、「同じ考えの人手を挙げて」「納得した人」「なるほどと思った人」とつなぐことで、発言しなかった子どもにも参加を促します。手を挙げることだけでも立派な参加です。ここで注意をしてほしいのは、手が挙がらなかった子どもです。「考えが異なる」から手を挙げなかったのでしょうか。それとも、参加する意欲がないから、指名されたくないから手を挙げなかったのでしょうか。いずれにしても、手を挙げなかった子どもも参加させる必要があります。「あなたの考えを聞かせて」「どこが納得できなかった」と挙手しない子どもも指名するのです(挙手しないのも意思の表れ参照)。
全員参加をさせるためには、全員に自分の立場をはっきり持たせることが有効です。野口芳宏先生の言うところの「選択的発問」です。「・・・が正しいと思う人は○、正しくないと思う人は×をノートに書きなさい」というものです。○か×かのどちらかですから、全員に自分の立場を持たせることができます。その上で、挙手をさせると必ず手を挙げることになります。自分の立場ができると、人の意見も聞こうとするようになります。全員参加の優れた方法です。
子どもの発言を大切にしようとした時、挙手した子どもだけを指名して進めると、一部の子どもだけで授業が進んでしまいます。全員が授業に参加しているか、どうすれば全員が参加できるのかということを意識して授業を組み立ててほしいと思います。