日記

介護研修で組織にとって大切なことに気づく

公開日
2014/10/15
更新日
2014/10/15

仕事

先週末、介護関係者の研修を行ってきました。今回からは、自分たちの考える介護のスタイルについて考え、共有してもらうという内容です。

介護施設で皆さんが行っている仕事をグループでできるだけ細かく出していただきました。午前中だけに絞ってもものすごくたくさんの仕事です。素直に「忘れてしまうこともある」という言葉がでてきます。全体の場でこのようなことを正直に言うのは、実はなかなか勇気のいることです。これができるということは、互いに信頼関係ができているということです。
ここで、これらの仕事を進めるにあたって大切なこと、ポイントは何かを話し合っていただきました。いくつかのポイントが出てくるのですが、介護の技術的なことは出てきません。この施設では技術面での不安や心配はないので上がってこないのです。出てくるのは、コミュニケーションの問題と利用者を見守るという姿勢の問題です。前者は、利用者の情報や大切なことを全員が知っておかなければならないという当たり前のことを問題にしていたのですが、それが現実には難しいことがわかります。今回は、この問題についてどのようにすればいいのかをグループで考えてもらいました。

最初に、ミーティングで共有する、見やすいところに情報を貼っておくといったシステム的なものと、その日必要な情報のメモをつくって常に手元に置いておくといった個人の対応がでてきました。しかし、それではちゃんと見ない人、やらない人には通用しないという意見が出てきます。みなさん、自分が与えられた仕事をミスのないようにしているだけではダメだと気づきはじめます。申し送りのノートに書くだけでなく口頭で伝える。忘れていることやミスに気づいたら、立場に関係なく声をかけるといったことが出てきました。そこには仕事をこなせばいいという受け身ではなく、自分たちの施設、自分たちの問題だという意識があります。これができることが組織としての力です。とてもよいことに気づいてくれました。素晴らしいと思います。

「忘れていたことを指摘された時にどう反応しますか?」という問いかけに、ある職員の方が、最後に「ありがとう」の言葉を足されました。多くの場合は謝るか、言い訳です。自分の身を守る対応です。この方は指摘されたことに対して「ありがとう」と感謝を伝えました。なかなかすぐに出てくる言葉ではありません。指摘する方も勇気がいります。謝られると相手に嫌な思いをさせたと暗い気持ちになります。「ありがとう」の言葉は相手の気持ちも軽くしてくれます。
こういった職員一人ひとりの持つよさがどんどん広がることを願っています。

介護の専門知識のない私には直接皆さんのお役に立つ話ができるわけでありません。こうして皆さんの中にある素晴らしいものを引き出すことしかできません。これは、学校の教師にも通じることかもしれません。子どもたちに教えるだけでなく、子どもたちの中にあるよさを引き出し、共有させることです。特に教科化が決まりそうな道徳では大事にしたいことだと思っています。
この日も参加者の皆さんから大切なことにたくさん気づかせていただきました。感謝です。