教務主任の研修で「学び合い」についてお話をする
- 公開日
- 2014/11/05
- 更新日
- 2014/11/05
仕事
先週末は、市の教務主任の研修で講師を務めました。この市では学び合いを取り入れようとしているのですが、まだ現場に浸透していないということで、他の市での実例の紹介とその意義やポイント等をお伝えしました。
「学び合い」というと特定の活動をイメージする方も多いのですが、子どもたちが「学び合う」という求める姿と、その実現手段を分けて考える必要があります。
教師が一方的にしゃべり続け、子どもは受け身で教えられたことを覚えようとしている教師主導の授業から、子どもが友だちとかかわり合いながら、自ら学ぼうとする子ども主体への授業へと変えることが求められています。子ども同士がかかわり合い学び合う授業の実現には様々な方法、要素がありますが、大切なことは、子どもたちが「互いに考えを聞き合う」「相手の考えを尊重する」ことです。
学び合いを進めることで、教師の学級経営力、授業力、指導力に頼らなくても、どんな教師の授業でも崩れない子どもの集団をつくることができます。その実現のためには、教師の授業技術を高めることよりも、子どもが変わる状況をつくることの方が大切だとよく言われます。ちょっと意地悪な見方をすれば、教師もよりも子どもの方が柔軟なので、子どもを変える方が速いということです。
グループ活動などの場面を授業の中につくることで、子ども自身が友だちから学ぶよさを身につけてくれます。教師の授業技術を高めることを求めなければ、そのルール等には工夫は必要です。4人組で、男女市松模様にする。グループで考えを1つにまとめない。グループに司会役などを設けない。聞かれていないのに勝手に教えない。教師は困っている子どもに対して個人指導をするのではなく、グループの仲間につなぐ。こういったことです。
「学び合い」がうまく機能している学校では、教師と子ども、子ども同士の関係がよくなり、授業中に笑顔がたくさん見られるようになります。学校の荒れもおさまり、不登校も少なくなるようです。落ち着いて授業に参加することで下位の子どもの学力も上がりますが、そこまで達成したところで壁に当たっている学校も目にします。子どもの学力を保障するためには、教材や課題が大切になります。これは、教師の教材研究とは切り離すことができません。状況をつくるだけでは足りないのです。また、教師が授業の進め方に困った時に、「相談して」とグループ活動にすれば取り敢えず子どもたちは活動をしてくれます。もちろんそれで学力がつくわけではありませんが、力のない教師でも授業が成立してしまいます。子どもが集中して授業に参加しているのに、学力が今一つ伸びないということになってしまうのです。
学校全体で「学び合い」に取り組むためには、ある程度共通の形をつくる必要があります。全員の先生に納得して実行してもらうことはとても難しいことです。従来の教師主導型で困っていない人に、やり方を変えろと言ってもなかなか聞いてもらうことはできません。しかし、力のある教師が学び合いを意識することで、今まで以上に素晴らしい授業に進化することもよくあることです。基礎があるからこそより高いとところに到達できるのです。
形をつくるために、校長の強いリーダーシップで強制する方法があります。まずは、若手で実践して子どもが変化する手ごたえを感じてもらって、学校全体に広げていく方法もあります。子どもたちの状況、先生方の意識によってその戦略は変わってくると思います。いずれにしても、授業改善の要である教務主任には、「学び合い」で目指す子どもの姿をまずしっかりとイメージし、現実とのギャップとその要因を探ることが求められます。今回の研修が「学び合い」を学校に広げることにつながれば幸いです。