日記

介護研修で、チームと個の役割について考える

公開日
2014/12/05
更新日
2014/12/05

仕事

先日、介護現場で起こることとその対応について研修を行ってきました。

介護施設の職員で2グループ、訪問介護の職員で1グループの3グループでした。今回はグループごとにテーマを決めて、新人とベテラン、それぞれがする対応を代表者にロールプレイしていただきました。介護施設の職員グループには、「利用者がお風呂を利用中に動かなくなった」「食事中に下を向いて動かなくなった」、訪問介護の職員グループには「食事の準備をしていたら利用者が転んで、起き上がれなくなった」という設定です。どのグループも自分たちの経験を話し合いながら、しっかりと考えてくださいました。

面白かったのが、介護施設と訪問介護の状況の違いです。介護施設ではチームで仕事をしています。したがって、担当者が何もできなくてもだれかが気づいてくれることもありますし、助けを呼べば何とかなります。一方、訪問介護では基本は1人ですから個人で対応することになります。皆さんのロールプレイはその状況の違いの中で何が大切かを見事に浮かび上がらせます。
介護施設では、すぐに助けを呼ぶと同時に、今自分ができることを素早く実行します。そのとき他の職員は利用者さんの視線を現場から外れるように誘導したりして、できるだけ他に影響がないように動きます。それぞれの立場で自分がなすべきことをするのです。
一方、訪問介護では、料理をつくっている時から、利用者さんの状況を把握しようとしています。声をかけて会話をすることで、利用者さんの異変をすぐに察知できるようにしています。トラブルに対して素早く状況の把握をしますが、それと同時に本部に電話連絡し指示を仰ぎます。現場での対応は自分一人ですが、きちんとチームとして事にあたるようになっているのです。

チームだからこそ、協調的な個の判断が求められる。個人だからこそ連絡と相談が大切になる。このことは学校現場でも同じです。学級の問題を担任の責任として一人で対応していては、判断ミスや対応の間違いがあっても修正できません。ことが大きくなってから初めてまわりが知っては遅いのです。中学校では複数の教師が1つの学級に入るので、それぞれの役割を意識した協調的な指導が大切です。教科担任には学級担任とは違った視点でフォローすることが求められます。

こういった事故を予見するために必要なことは、利用者一人ひとりの情報の伝達、共有です。このことについても、グループで考えてもらいました。参加されている方は力のある方ばかりです。手にした情報を伝えることや自分が担当する利用者の情報を得ることをしっかり意識しできていました。しかし、リーダーに伝えた、連絡帳に記入したで終わってはいけません。残念ながら、すべての職員がここに参加された方と同じレベルに達しているわけではありません。情報がきちんと伝わっているかチェックする、担当者に任せっぱなしではなくそれとなく意識して見守るといったことも必要なのです。このことをお伝えしました。

今回は、介護施設と訪問介護、それぞれの状況の違いを理解し合うことができました。互いに学ぶべきことは多かったようです。人のお世話をするという点で、介護は教育と似たところがあります。私も研修を通じてよい学びをすることができました。ありがとうございました。