日記

1人1台タブレット環境の実践報告から学ぶ

公開日
2015/06/29
更新日
2015/06/29

仕事

愛される学校づくり研究会に参加しました。今回は、来年開催のフォーラムの内容についての検討と、1人1台タブレット環境を実現している中学校の教務主任をお招きして、その実践報告をお聞きしました。この日は土曜授業だったそうで、授業後、他県から駆けつけてくださいました。ありがたいことです。

今年度のフォーラムは1人1台環境におけるタブレットの活用の提案を考えています。その環境を近未来的な設定にするのか、より先を見据えるのかが課題です。学校に40台程度のタブレットがある環境での授業場面での活用か、個人所有となって学校での授業のみならず、休み時間、家庭での活用など日常のあらゆる場面での活用を考えるのかです。ICTネイティブな子どもたちの時代になって、そのスキルを前提としてどのような活用が考えられるのかというのも魅力的ですし、今、目の前に起こりつつある変化に具体的にどのように対応していくかの提案もとても意味のあるものです。現在もメーリングリスト上で議論が続いています。夏までには結論が出ると思います。皆さまには、その時点で正式にアナウンスできることと思います。

今回の実践報告は、フォーラムの内容を考える上においてとても有意義なものでした。そのタブレットの活用以上に、公立学校で教員の人事異動が毎年1/3程度ある状況の中、いかにして実践を進めていったかがとても勉強になりました。
「全体研修会」「ミニ研修会」「雑談研修会」という3つの校内研修会が行われています。「全体研修会」はこの学校の授業で進めている「協同学習」の形を取り入れることで、先生方に子どもの立場でそれを体験してもらうこともそのねらいになっています。「ミニ研修会」はテーマごとに同じ内容で授業時間中に何日も行います。部活動などで全員がそろう時間を取りにくい中学校です。そこで毎日どこかの時間帯で研修を行うことで、先生方の都合のよい空き時間に参加してもらおうという発想です。そして何より感心したのが「雑談研修会」です。職員室で先生方が授業について話をすることが最近減ってきているのはどこの学校でも課題のようです。そこで、先生方の同僚性を復活させるために、授業に関する雑談を、わざわざ席の離れた人と職員室の電子黒板にタブレットの画面を映しながら行うというのです。こうすることで、自然にその話に参加する先生が出てきます。とても面白い発想だと思いました。
タブレットは「協同学習」での活用を念頭に置いて活用されていますが、その課題は「一部の子どもの考えだけが取り上げられる」「生徒の考えをもとに、結局は教師が説明している」「グループで一部の生徒の考えだけで話し合いが進んでいる」といった、タブレットを使わない通常の「協同学習」の課題と何ら変わりません。道具の問題ではなく、授業そのものの問題です。とても考えさせられます。逆に、この学校の実践を通じて、タブレットだからこその解決が見つかることを期待します。
発表者はとても謙虚で、素直な方です。こういった先進的な取り組みをしている方々は、ともすると、よいところ、成果だけを発表して上辺を繕うことが多いのですが、そのようなことは微塵もありません。今回の発表では、失敗や課題も包み隠さず伝えることで、これから活用しようとする者にとても役立つ情報を与えてくれました。また、私たちの質問に対しても、できる限り正しい情報を伝えようと真摯に答えていただけました。同様の取り組みをしてきた学校の多くが、研究発表が終わったあと活用が進んでいない状況の中で、この学校が着実に前に進んでいるのは、このような方が研究を引っぱっているからだと思いました。つくづく「物ではなく人なのだ」と思わされました。今後この学校がどのような活用を提案してくれるかとても楽しみです。また、是非お話をうかがいたいと思います。
忙しい中、多くのことを学ばせていただきました。ありがとうございました。