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良い説明型授業とえせ説明型授業

公開日
2010/12/18
更新日
2010/12/18

算数・数学授業:志水メソッド総括 ○付け法、意味付け復唱法、音声計算、適用問題定着法など

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算数の授業はどのようにするべきか。
ここのところの基本が明確になっていないと、授業は組み立てることができない。
説明型授業と問題解決型授業がある。
どちらも長所と短所がある。

今回は、説明型授業を認めたとして議論をしていく。
説明型授業でもよい授業と悪い授業があることを述べよう。

よくある授業タイプ
1.ひたすら説明するタイプの授業・・・だめだめ授業
  ひたすらという意味は、子どもがわかろうが、わかるまいが話しつづけて、最後は、「どうみなさん、わかった?」「わかりました(一斉唱和)」となる授業

2.説明して分からせる授業・・・よい授業
  「説明」というのは指導では重要な道具である。
  良い説明とは、子どもが「分かる」ような説明をする授業である。子どもが分かるためには、子どもの既習の知識にそって、新しい数学の内容をつなげることである。
例 これまでは、こんなことを習ったね。そして、次の場合は、ここが今日の問題で新しいことだよ。この新しいことのためには、新しいルールがあるんだ。このルールのわけはこうなんだ。だから、このルールを使おうね。
  第2学年 たし算の筆算
 23+15の筆算はならったよね。今度は、23+19を考えてみよう。すると、一の位からたしてみると、3+9は12だね。この12は、これまでのきまりたど、一の位に書くね。すると、十の位は、2+1だから3ですね。すると、答えは、312となってしまうね。でも、数え棒でやってみたら、42となるよね。だから、一の位にある12というのは、十の束が1つと一のばらが2つということだから、この十の束1つは、十の位にあげますよ。これを繰り上げるといいます。
だから、十の束は4つと、一のばらが2つで、42となりますね。

このように説明することである。
この説明がきちんとできていることが大切である。
なお、説明でも途中の理由が欠けている授業は、よい授業とは言えない。


3.えせ説明授業・・・だめだめ授業
 とにかく手順だけを教える授業。例えば、分数×分数は、分子どうしをかけて分子に、分母どうしをかけて分母にすればいい。はい、練習。
 これで当面の練習もはばっちりできる。だけれども、文部科学省の全国学力テストになると、知識のテストにおいても破綻をきたす。まして、活用の問題などは全く手がつかない。
 何も学力テストがそうだから、このタイプの授業が悪いというのではない。人間の頭にとって不都合だからこのえせ説明授業はだめというのである。そのわけは、意味がつながっていないからである。人間の脳は、「分かる」際には意味を求めるからである。脳の仕組みに合っていないからだめである。分かるためには、意味のつながり考えることが不可欠である。教師の役割は、意味をつなげることである。手順だけを暗記する教育は、馬鹿な人を製造しているだけである。当面の練習問題はできるけれど、後々の授業の問題において考えるようにはならない。それが証拠に、単純手順暗記で育てられた子どもは、次の担任が算数の授業で、みなさん考えましょうと問いかけても、行動を起こさない。そもそも考えるとは何かがわからないからである。罪深い授業だと自覚してほしい。
「えせ」と名付けたのは、当面子どもは解決できるだけに、良い授業と思われてしまうからである。よくできるようになるから、教師は困っていないし、子どももその教師に教わる限り困らない。でも、子どもの将来を考えると・・・困ったときがくる。
本当の教育とは、子どもが自ら乗り越えていくような教育でなければならない。

ぜひとも、説明型授業をするのならば、意味がつながる授業をしてほしい。

[志水廣の公式ホームページ]