日記

質問することの意味

公開日
2010/07/12
更新日
2010/07/12

仕事

昨日は研究会で、この秋の学会発表に関する検討を行いました。

私は授業評価に関する発表を行うのですが、その中で学び合いを意識した学校での授業評価項目の例を取り上げています。その項目に関して、熱心な校長先生から質問を受けました。
一つは「教師の声の大きさが適切か」という項目は保護者にとって評価しやすくまた大切なことであるから、入れてはどうかというものでした。

とてもよい質問です。実はこの項目は意図的に外しています。なぜなら、適切な声の大きさはとても判断が難しいからです。明るく、教室の端まで聞こえるような大きな声がよいと考える方が多いと思いますが、子どもに集中して聞かせるために、わざと声を低くして話す方法もあります。その学校が、その教師がどう考えるかで違ってくるのです。その項目がなくても声の大きさが適切でないと考える保護者がいれば、きっと自由記述欄に書いていただけると思います。それに答えることで、評価ができるのではないかと考えていると説明しました。

また、もう一つの質問が、「子ども同士の学び合いの場面があるか」に対して、自分の考えを持つことも大切なので、「一人で考える場面があるのか」も聞いてはどうかというものでした。これもよい質問です。一人で考える場面というのは大切ですが、考えられない子ども、見通しが持てない子どもにとってはすぐに集中力が切れてしまう場面です。そこで、あえて「一人で考えなさい」という時間をとらずに、最初からグループで活動する考え方もあります。だから、項目に入れていないと説明しました。

この校長先生は「自分が不勉強で」とおっしゃっていましたが、決して不勉強なわけではありません。評価項目を検討して自分ならどうするかを真剣に考えたから生まれた疑問です。質問は、前向きに学ぶ姿勢があるから起こるのです。しかもその質問は、私がこの評価項目に込めた思いに直結するものでした。まだ校長1年目の方ですが、この学校は間違いなくよい学校なっていくと思います。ぜひ一度訪問させてくださいとお願いしました。