指示を通す
- 公開日
- 2011/11/14
- 更新日
- 2011/11/14
仕事
先週末は、中学校で授業アドバイスをおこないました。小学校から異動して1年目の理科の先生です。
やさしい話し方から小学校の経験者であることが伝わってきます。鉛筆を置くように言った後、3、2、1とカウントダウンをするなど、指示を徹底させようと意識しているのがよくわかります。しかし、カウントダウンを終了してもまだ鉛筆を置いていない子どもがいるのに話し始めてしまいます。
この日は火を使う実験なので、実験の説明も丁寧にしようと心がけています。しかし、いざ実験を始めるときちんと理解していない班がたくさんいます。先生は各班をまわりながら、質問に答えているので全体のようすが見えていません。なかにはガスバーナーの火をつけっぱなしにしながら、全員がワークシートに書きこみをしている班もありました。
この点について授業後話をしました。授業者は徹底できていないことを自分でもよくわかっているようでした。なかなか徹底できないが、待っていると時間がなくなる。そんな悩みを持っていたようです。徹底させるというと、厳しく指導するイメージがあります。そうではなく、できたことを一つずつほめて認めていけば子どもたちは、喜んで指示に従います。また、丁寧に説明しようとすると教師が話している時間はどんどん長くなります。受け身の時間が増えるので集中力がなくなり、逆効果です。できるだけ説明は短くし、きちんと理解できているか子どもたちに確認する時間を取ることが大切です。
説明の順番にも注意を払う必要があります。授業者は実験の説明の途中で、実験中はにおいがするので、窓際の生徒に実験を始める前に窓を開けるよう指示しました。しかし、そのあと実験の説明を続けたので、忘れてしまう生徒もでてきます。授業者は、それに気づき自分で窓を開けました。この指示は、説明の最後にするべきでした。そうすればきちんと窓を開けてくれます。また、たとえ忘れても授業者が窓を開けることをせず、生徒に気づかせ、窓を開けさせたあとに「ありがとう」の一言を言えばよかったのです。
小学校の経験者が中学校に異動して戸惑う姿をよく見ます。小学校のやり方が通用しないと感じたり、そう思い込んでいる方が多いようです。実はそうではないのです。小学校でも、中学校でも同じやり方がちゃんと通用します。うまくいかないのは実は、小学校でもきちんとできていなかったことに気づいていなかっただけなのです。指示は全員できるまできちんと確認する。できなかったことを注意するのではなく、できたことをほめる。こういう原則は同じなのです。ただ小学校では教師の力関係が相対的に強いので、何とかなっているように見えているだけなのです。
授業における一つひとつの指示や活動を全員ができるように徹底するには、具体的にどのようなことを意識すればいいのかを一緒に考えてみました。授業者も実はよくわかっていたように思います。ただ、子どもたちの違いに戸惑い、忘れてしまっていたようです。少しずつ思い出しながら、子どもたちと接していけば、きっといい方向に動き出すと思います。次に授業を見る機会が楽しみです。