授業研究でアドバイス(長文)
- 公開日
- 2012/06/19
- 更新日
- 2012/06/19
仕事
昨日は中学校の授業研究に参加してきました。5時間で6つの授業を見たあと、協議会で全体へのアドバイス、その後個別のアドバイスをおこないました。
おもしろかったのが、この学校の子どもたちは教師が説明の途中で板書をしてもすぐに写さないことでした。とりあえず教師の説明を聞くことを優先しているようでした。その一方で、教師の説明を集中して聞いていない子どもも目立ちました。また、どの教室でも、指示が徹底しないのも共通の特徴でした。子どもが作業に入ると必ずと言っていいほど子どもから質問がでます。そして、先生はその質問に答えます。これでは、きちんと聞く意味がありません。また、子どもの作業中に教師の追加の指示や説明がでて子どもの集中を乱したり、逆にきちんと作業を止めて全体に指示しないため聞き流す癖をつけたりしてしまっていました。
子どもたちは、わかること、できることには前向きに取り組みますが、ちょっと壁があると教師の指示や答えを待ってしまう傾向にあります。ワークシートに意見が書いてあっても、手を挙げて発言しようとはしません。一問一答式のやり取りが多く、子どもの発言を笑顔で受容し、ポジティブに評価することが少ないこと、数人の挙手でも指名して進んでいくために自分が発言する必然性がないことなども関係していそうです。
小学校で学び合いを経験しているせいか、グループでの話し合いはある程度成立するのですが、その後の全体での場面ではかかわりあえません。友だちの話を聞く姿勢がなくなり、教師の方ばかり見ます。多くの授業で、グループでのまとめを代表に発表させるので、発表者でない子どもはそこから先は自分の仕事でないと思っているようです。また、子どもの発表を他の子どもにつなぐことをせずに、教師が評価して説明することが多いこともその理由だと思います。子どもの目から見ると、自分たちが何を言っても最後は教師が予定していたことをしゃべって終わるように感じると思います。自分たちの活動が授業の中で有用性を持っていると感じないのです。
全体では、次のようなことを話させていただきました。
子どもたちの発言を受容すること、ポジティブに評価することなどの授業における基本的な姿勢や、指示の出し方(指示を徹底させる参照)などの基本的なスキルについて。
授業を参観するとき、教師ではなく子どもを見ることの大切さ、特に子どもの何を見たいか、目指す姿を意識していないと見えない物がたくさんあること。
グループでの結論をださない、話し合いでなく聞き合いを意識させる、教師は個別にミニ授業などをせずに子どもをつなぐことに専念する、発表の場面では結論を聞くのでなくどんなことを話し合ったかを聞けばどの子も発言できることなど、グループ活動における基本的なこと。
その後個別にアドバイスさせていただきましたが、授業者だけでなく、教科の先生も一緒に参加していただけたことを大変うれしく思いました。
英語では、活動の目的を意識すること、特にリーディングでは、なぜ全体で、ペアで、個別でおこなうのかを教師が意識していないと、漫然とした活動になること。ペアでの活動は、受け手の役割が大切なこと(ペア活動のポイント参照)。
situationを意識して話す必然をつくることなどをお伝えしました。
国語では、鑑賞と感想の違いを、国語における根拠の大切さ(根拠を問う参照)とともにお話しました。合わせて、「結果をつなぐ」と「根拠をつなぐ」の2つのつなぎ方を知っていると、子ども同士をかかわらせやすくなること。また短歌などの創作では、工夫を抽象的に説明するのではなく、鑑賞した作品を具体例として活用することで、鑑賞と創作がつながること。伝えたいこと、感動したことを書かせておいて、その言葉は使わないことをルールにするといった手立てや工夫の有効性について。全員の作品の評価は教師には負担なので、子ども同士でやらせるとよいが、その際、ただよいではなく、どこがどのようによいのか具体的にさせるように指導することなどを伝えました。
社会では、復習したり、調べたり色々な活動をおこないたくても、考えさせたいことを中心に授業を組み立て、その時間を確保するためには他の活動を思い切って短くすることも大切であること。グループ活動のあと全体で話し合って終わるのではなく、そこで問題になったこと、一部のグループしか気づいてなかったことなどをもう一度グループに戻す時間をつくるとよいこと。資料の活用の仕方(資料集をどう活用する参照)などをお話しました。
時間の関係で数学の方とお話しできなかったことをとても申し訳なく思っています。次回の訪問時には、必ず時間を取るようにしたいと思います。
子どもたちのようすについて色々気づきましたが、決して子どもたちが悪いわけではありません。先生方もとても前向きに授業に取り組んでおられます。問題は先生方がちょっとしたことを意識しているかどうか、学ぼうとしているかどうかです。互いに授業を見合い、授業について話をして、子どもたちにのぞむ姿を共有することで、子どもたちは大きく変わっていくと思います。校長始め、教頭、教務主任もとても前向きで、学ぼうとする姿勢が感じられました。先生方の授業力向上への取り組みをしっかりサポートしてくださることと思います。
次回訪問時には、きっと多くのことが変わり始めていると思います。次回の訪問がとても楽しみです。