目的と手段の関係を明確にする
- 公開日
- 2012/11/05
- 更新日
- 2012/11/05
教材研究
子どもたちが課題解決をするためには手段が必要です(課題解決の手段を考える参照)。このとき、つねに教師がその手段を与えていると、子どもは受け身で指示されたことをこなすことが学習だと思うようになってしまいます。また、一つひとつ作業をこなすだけでは、その作業の持つ意味が理解されません。これでは、自ら課題を解決する力は身につきません。
たとえば、課題を解決する手段として、解決にいたるステップを穴埋めにしたワークシートを準備したとしましょう。子どもたちは穴埋めをしていくと学習した気持ちになりますが、ワークシートの穴を埋める行為が何の意味があるかは深く考えません。
歴史を例にして考えてみましょう。ある人物が目指した政治を考えるときに、「どんなことをしたか?」、「その内容は?」、「それは何のため?」、「その結果は?」を調べ、最後にそこから「目指した政治はどのようなものか?」「それは結局成功したのか?」を導くのが作業の流れです。しかし、このような流れのワークシートで作業をさせても、何のための作業かが不明確なままなので、子どもにとってはミステリーツアーです。「目指した政治はどのようなものか?」を課題として明確にし、それを考えるための手段として個々の作業を意識させる必要があります。課題を解決するという目的のために、どのような手段が必要かを明確にするのです。
しかし、「目指した政治はどのようなものか?」を考えるために、「どんなことをしたか?」を調べましょうとその手段を教師が与えてしまえば、目的と手段の関係を明確にしても受け身であることには変わりありません。「目指した政治はどのようなものか?」を考えるために、どのようなことを調べるとよいかを考えさせることで、初めて、子どもたちが課題解決の手段を意識するのです。
国語であれば、指示語の内容を考えるときには、「文章を正しく読みとるためにはどんなことに注意すればよかった?」というように、登場人物の気持ちを考えるときには「文章のどんなところに注目する?」というように問いかけます。
算数・数学であれば、「○○を求める(証明する)」ことが目的であることを確認した後、「最初に何をやってみようと思う?」、「何がわかれば解けそう?」といったことを問いかけます。
課題解決を意識して作業をする。作業がどのような課題解決に役立ったかを振り返る。いきなりは無理かもしれませんが、このような経験を通じて、自分でその手段を見つけることができるようにすることが大切です。
課題解決のためには色々な手段があります。目的を達成するためにどのような手段を選ぶか。逆に一つひとつの手段がどのような課題解決に有効であるか。このことを意識し、目的と手段の関係を明確にすることで、子どもたちの課題解決能力を高めてほしいと思います。