先生方の1年の進歩を感じる
- 公開日
- 2014/10/22
- 更新日
- 2014/10/24
仕事
一昨日は、小学校で若手を中心に授業アドバイスを行いました。この学校では、夏休みに模擬授業で解説を行いましたが、子どもたちの様子を見るのは今年度初めてです。昨年度アドバイスをした先生方がどのように変わっているかとても楽しみでした。
1年生の授業は国語で、文章の流れを整理する教材でした。学級には気になる子どもが数人いますが、それ程目立つことはありません。学級の雰囲気は1年生としてはよい状態です。授業者は子どものつぶやきも上手に拾い、よくほめています。授業規律も確立できています。
学級の状態がよいので授業内容についての課題を考えることができます。授業者は、話の「ながれ」という言葉を使いますが、その説明はしません。何となくはわかるかもしれませんが、学習用語としては定義されていないことが問題です。話の「場面」という言葉も明確ではありません。1年生ですので、「(いつ、)だれが、(どこで、)どうした」といった説明でよいと思います。「ながれ」は、「場面がどのように変わっていくか」といように、できるだけ子どもの言葉で定義することが必要です。
授業者は、場面ごとの絵を用意してそれを順番に並べ替えさせます。子どもに絵を選ばせるのですが、意見が分かれます。違った意見(間違いだった)を出した子どもに対して、いろんな意見が出ることはいいことだと、しっかりと認めています。よい対応です。教科書の記述を根拠にして全体で結論を出させたのはよいのですが、間違えた子どもに、納得したかどうかの確認をしませんでした。間違いは必ず本人に修正させるようにするとよいでしょう。
絵を選ばせることから出発するのであれば、意見が分かれた時点で2枚の絵を比較するとよかったと思います。「何が書かれている?何をしているところ?」と違いを明確にし、教科書でその場面を探すのです。こうすることで、場面を明確に意識することができます。違いから変化を意識できますので、これが「ながれ」つながっていきます。
授業者は国語が苦手だと言っていましたが、授業を組み立てる視点を意識すると上手く組み立てることができます。学習用語の定義を意識し、何を根拠にして考えさせるかを明確にするとよいでしょう。
4年生の算数は資料から情報を読み取り問題を解く場面でした。授業者は苦しい場面でも笑顔を絶やしません。否定的な言葉もつかいません。子どもたちは授業に前向きに取り組んでいました。
グループで問題に取り組んでいます。授業者が指示を出している時に、早く問題を解きたくてうずうずしている子どもがいます。やる気があっていいように見えたのですが、ちょっと様子が気になります。グループ活動になるとすぐにしゃべり始めるのです。どうやらよくわかっている子どもが自分の考えをしゃべりたいのです。教える側が主導権を握っています。生活班と学習のグループが一緒のために、普段の生活でリーダシップを取っている子どもが仕切ってしまうのです。生活の人間関係を授業に持ち込まない方がよいと思います。
教える子どもがわからせようと説得するので、どうしても声が大きくなり教室のテンションが上がってしまいます。そうではなく、わからない子どもが主体となって「教えて」と聞けるようにすることが大切です。教える側が主体とならないように注意してほしいと思います。
この教材では、「どの資料を利用するか」という資料選択の問題と、その資料の情報を使ってどのように問題を解くかの2つのステップに大きく分かれます。この授業ではこれを1度に進めていました。この問題を解くにはどんなことがわからなければいけないかをまず引き出す。それをもとに資料を選ぶ。ここまでをいったん全体で共有して、足場をそろえたいところです。
指名した子どもに解き方を説明させたところ、言っていることが長くてよくわかりませんでした。ノートを見るといっぱい書いてあるのですが、一度にしゃべるのでついていけません。授業者もよくわからなくて、もう一度説明させますが、状況はあまり変わりませんでした。困っているところで時間がきてしまいました。
このような場合はいくつのオプションがあります。1つは、ノートに書いてあるので、実物投影機で映してそれをもとに説明させるという方法です。言葉と違って振り返ることができるのでずいぶんわかりやすくなります。
長い説明は、2度目の説明を途中で区切るという方法があります。「ここまで、どう、納得した?」と確認し、共有させながら進めることで、理解しやすくなります。
もう1つの方法は、子どもに助けを求めることです。教師が理解できない説明も、意外と子どもにはわかることがあります。「先生よくわからなかったけど、誰か助けてくれる?」と子どもに問いかけるのです。子どもの言葉をつないで重ねることで次第に明確になっていくものです。この過程を経ることで、より多くの子どもが理解できるようになります。ここで注意してほしいのが、「どう、○○さんの説明でいい?」と必ず最初に説明をした子どもに確認をすることです。自分の考えと違っている説明で進んでいくと、否定されているように感じるからです。
2年生の算数の授業は初任者でした。子どもが落ち着かないことが気になります。昨年度落ち着かない状態の学年だったのですが、それがそのまま続いているように見えました。
複数のことが整理されずに指示され、また確認もされていません。教科書をスクリーンに映すのですが、その前に子どもたちに教科書を開かせています。子どもの視線がバラバラになります。活動の目標や評価基準もはっきりせず、一つひとつの活動にけじめがついていないため、なんとなく授業が進んでいます。気になる子どもを注意しますが、子どもが行動を正してもそのことを評価しません。ほめ言葉、ポジティブな評価が少ないのです。まずは授業規律を確立することから始めなければいけません。
子どもに作業をさせている時に、何かと次の準備をしています。こういうときに子どもたちを見守っていることが大切です。集中力が切れて子どもが顔を上げた時に教師と目が合うことで、「先生は自分を見ていてくれているんだ」と安心感を持ちます。このことが信頼につながり、人間関係がよくなっていくのです。子どもを見守る姿勢を大切にしてほしいと思います。
もう1つの2年生の授業も算数でした。先ほどの初任者も一緒に参観しました。
休み時間の子どもたちはテンションが高く、この学級も先ほどの学級と同じく大変だろうと想像しました。教室に入っても落ち着きません。授業者は子どもたちをじっと見守っています。次第に子どもたちが落ち着いてきます。そこで授業を開始しました。若手ですが、見事だと思いました。とにかく、板書している時でも説明している時でも子どもたちをとてもよく見ています。注意をした子どもが行動を正せば、笑顔を向けます。なかなか大変な子どもたちだと思いますが、見事に集中させていました。教科書をスクリーンに映すので、教科書は開かせません。子どもたちは全員スクリーンに集中します。こういった基本がしっかりと押さえられています。
意見が分かれた時に、どちらの考えか挙手させます。決めかねている子どもには、「困っている子?」と聞くことで、全員に手を挙げさせます。こういうところもよく考えています。
以前のことを思いださせるのにノートを確認させますが、子どもの反応がよくないので教科書のそのページをスクリーンに映します。子どもから「あー」という反応が返ってきます。各自に教科書を探させたり、指示して開かせたりするよりも時間がかからない方法です。復習なので効率的な進め方が大切なのです。
ただ、子どもの指名がまだ単発で、参加していない子どもがいることが気になります。何人も指名して、手を挙げない子どもも参加させることを意識するとよいと思いました。
昨年と比べて、基本がずいぶんしっかりしてきたと思います。同行した初任者にとっての課題をしっかりとクリアした授業だったので、同じ学年だったこともあり、学ぶことがとても多い授業だった思います。
昨年からの先生がどなたも進歩していたことをとてもうれしく思いました。
残りの5人の授業については明日の日記で。