日記

中学校で学年の課題について考える

公開日
2014/11/20
更新日
2014/11/27

仕事

先週末に中学校で授業アドバイスを行ってきました。合唱祭が終わったばかりだったので、子どもたちがどんな様子か楽しみでした。

1時間学校全体の様子を見た後、3つの授業研究に参加しました。
3年生はさすがに見事に切り替えができていました。どの学級も圧巻の歌声を聴かせてくれたそうですが、力を出し切ったからこそ学習に集中できていたのだと思います。
2年生は、学校全体を見た時の授業についてはとてもよい状態でした。3年生と比べても遜色ないように見えます。授業者が教室を離れなければならないことがあった学級がありましたが、子どもたちは全員きちんと自習をしていました。しかし、同じ学級でも、授業によってこれとはまったく違う姿を見せることが気になります。一部の教師と人間関係ができていないことが色々なところで目につきます。これが担任とであると学級経営にも大きな影響が出てきます。こういった場合、授業に入っている先生で人間関係がうまくいっている方が、担任の子どもたちへの思いなどを伝えて子どもとの間をつなぐような働きかけをすることが有効なのですが、他の先生方にも余裕がないため、なかなかこのような動きが見られません。苦しいことも多いでしょうが、チームワークで乗り切ってほしいと思います。また、基本的に子ども同士の関係はよいのですが、一部の子どもと他の子どもがうまくかかわれていないことも課題です。子ども同士がかかわる機会が多い教科の時間になると保健室で過ごす子どももいます。普通の子どもたちが意識せずに友だちを傷つけるような言葉を発していたり、参加できない友だちに対してかかわろうとしなかったりしている可能性があります。子どもたちの関係づくり、ソーシャルスキルのトレーニングなどが必要になるように思えます。
1年生は、合唱祭の疲れが出たのでしょうか、集中力を失くしている子どもが少し目につきました。とはいえ、全体としてはそれほどではありません。気持ちの切り替えをうまくうながせば、またよい姿を見せてくれると思います。

2年生の理科での授業研究は、回路図の学習場面でした。授業者は参観者がいるのでちょっと緊張していたのでしょうか、表情がかたいことが気になりました。
回路図は技術の時間でも一部学習しています。子どもたちに知識があるので、復習をうまくいれながら授業をすることになります。知識の確認で、子どもを1人指名して正解であれば、それで終わってしまいます。時間が気になるかもしれませんが、テンポよく何人にも答えさせて子どもの発言機会を増やしたいところです。
電池を直列につないだ時にどのように書くかを問いかけました。子どもが電源を直列につなぐ図を考えました。答は、電池をいくつつないでも電源は1つです。授業者はいくつつないでも1つしか書かないと説明します。子どもの中では電池と電源の意味が混乱したままです。電池がいくつあっても電源としては1つだからと、電源と電池の関係を説明して、納得させる必要があると思いました。
実物を使って回路図の書き方と実際の関係を説明しますが、後ろの方の子どもには小さくてよく見えません。せっかく大型のディスプレイがあるのですから、実物投影機を使って大きく見せたいところです。ちょっとしたことですが、子どもたちの目線で授業を考える必要があります。
回路図を見ながら、電流計を入れることのできるところが何か所あるかたずねます。指名した子どもは3か所と答えました。授業者は「ありがとう」と言ってどこに入れられるかを説明し始めました。子どもを受容はしているのですが、具体的にどこかはまだ子どもに聞いていません。3か所はあっていても、入れる場所を間違えている可能性だってあります。「それはどこ?」と本人に確認したり、「○○さんは3か所と言ってくれたけれど、どこかわかる?」と他の子どもに問いかけたりして、確認することや考えさせることが必要です。挙手しない子どもは、先生が答を説明してくれるので友だちの発言を聞く必要がありません。全員参加させることをもっと意識する必要があります。
電流計のつなぎ方を変えて測定する実験をしますが、実験そのものが目的なのか、回路図から正しく配線できることが目的なのかがはっきりしません。後者であれば、グループで誰かが仕切ってつないでしまえば、他の子どもは考えることができないので注意が必要です。3回測定するのですから、毎回人を変えて配線し直すといったことを考えてもよかったと思います。前者であれば、実験の目的・目標を明確にすることや、前回までにやったモデルを使って結果を予想させることなどをして、実験する必然性を子どもたちに与える必要があります。そうでないと指示に従って実験をするだけになってしまいます。
どちらも意識したいのであれば、活動を2段階に分けるとよいでしょう。回路図をもとに実験器具を配線した段階でいったん活動を止め、正しくできたかどうか評価してから、実験に入るのです。
また、目盛りは1/10まで読むようにと指示しますが、後から結果は3桁で書くようにと注意します。よくわかっていない子どもは、別の指示をされたように思います。小数点以下1桁まで書くようにと言った方が混乱を少なくできるでしょう。
一つひとつの場面を取り上げてみれば、ていねいに指示をして子どもたちを受容しているのですが、全員を参加させることや子ども目線で授業を組み立てる意識が弱いように感じました。子どもたち一人ひとりに寄り添えていないと言ってもいいでしょう。
授業者と学級経営について少し話す時間がありました。合唱大会の練習の時に、関係がうまくつくれなかった子どもたちと積極的に話すようにしたそうです。その結果すこし関係が改善されてきたそうです。自分で課題がどこにあったのか気づけたようです。授業でも同じです。漠然とした「みんな」に対して授業を進めていくのではなく、一人ひとりの子どもを意識して授業を進めていくことが大切です。ここに気づいてくれることを期待したいと思います。

他の2つの授業研究については明日の日記で。