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活動予定・報告

第3回(通算161回)横山浩之先生 講演内容

公開日
2025/09/06
更新日
2025/09/06

活動報告

 令和7年8月23日(土)、第3回教師力アップセミナーでは、横山浩之先生をお迎えして「発達特性のある子への授業配慮と関わり方 ~理論を実践に変えるヒント~」と題してご講演いただきました。


 ●作業記憶の乏しさについて

 発達障害、精神障害、心理的諸問題に共通して見られる特徴として「作業記憶の乏しさ」があることが示されました。授業における具体的な配慮としては、余分な情報を削除し、一目で理解できる工夫を行うこと、また言葉を簡潔にすることが挙げられました。これらは日常的に取り入れることができる重要な実践例であるとご教示いただきました。 


●漢字指導における配慮

 漢字学習においては、きれいに書かせようとすると記憶の定着が妨げられる場合があることが指摘されました。筆順や形を理解したうえでマス目に書けるようにすることが効果的であるとされました。また、空書きの際には「手首を振らない」「対象以外の漢字を黒板に書かない」といった指導上の工夫が有効であることが示されました。 


●できる子への配慮

 支援が必要な子どもに配慮する際、授業が過度に易しくなってしまう場合があります。横山先生は、「一人ひとりの目標は異なってよい。できる子はさらに伸ばし、そうでない子は必要な内容に重点を置くことが重要である」と述べられました。すべての子どもが学びを得られる授業設計の必要性が強調されました。


 ●行動のレパートリーを増やす指導

 自閉症をはじめとする発達障害では、行動のレパートリーが狭いため、単に禁止をしても適切な行動につながらないことがあります。そのため、望ましい行動を具体的に教え込み、選択肢を増やしていくことが効果的であると示されました。指導においては、行動のレパートリーを広げる視点を持つことが大切であるとされました。


 ●教育目標と良い授業のポイント 

 教育目標を「認知領域」「情意領域」「精神運動領域」に分けることで、不足や偏りを確認できることが紹介されました。また、良い授業を行うためのポイントとして、次の8点が示されました。 

1. 子どもが情報を得るところから始めること 

2. 最初は誰もが答えられる発問を行うこと

3. 子どもの作業時間を多く確保すること

4. 教師による説明を最小限にとどめること 

5. 評価は教育目標の達成度で行うこと

6. 子どもの反応が予測不能であることを織り込むこと 

7. クラマックスとなる発問は一つに絞ること

8. できる子への対応を考えること 


●模擬授業 

 後半は、国語と算数の模擬授業を通して、前半で学んだ理論を実際に体験する機会が設けられました。国語の音読指導においては、句読点だけでなく分かち書きの空白も読む方法が紹介されました。繰り返しの練習を通して改善が見られることが示され、日常的な意識づけの重要性が確認されました。 


本講演では、発達特性のある子どもへの具体的な授業配慮と関わり方について、多くの実践的示唆をいただきました。横山浩之先生に厚く御礼申し上げます。また、ご多用の中ご参加くださった先生方に深く感謝いたします。