研究室日記

10月21日 日本個性化教育学会に参加して(早川)

公開日
2017/10/30
更新日
2017/10/30

学生の学び

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こんにちは。3期生の早川です。
大きな教育関連の大会が自分の大学で行われるということで、積極的に参加しようと思い、実際に本日参加しましたので、まず1日目の感想をその日のうちに綴ります。それぞれの参加項目ごとに分けて書きます。

◯岐聖大附属小学校 第2学年算数科「かけ算」
この授業を参観し、自分の中に強烈なインパクトを残したのは授業内容自体ではなく、児童が発表するときの教室全体の状態でした。挙手をし、先生に指名されて発表をしようとした子は、周りの子が全員自分の方を向いて話を聞いてくれる姿勢づくりができるまで決して話し始めようとはしませんでした。発表を聞く側の子も同様に、発表をする子の方に体を向け、しっかりと考えを受け止める姿勢を作ることが出来ていました。何より、その状態を作るために先生が何も助言をしていないことに驚きました。
また、ブロックを使って掛け算の式を説明しようとする際に、ただただ同じ色のブロックを並べるのではなく、1つ分にあたる部分(かけられる数)だけ異なる色のブロックを使用し、他の子に説明しようとする場面も印象に残った。先生が一方的に説明する授業ではなく、児童が周りに考えを共有していくことで授業を作っていくという言葉が体現されたものを目の前で見ることが出来てとても満足できた。小学校2年生にして自分の考えを相手にわかるように論理立てて説明する技術を身に着けていることに本当に驚かされた。


◯岐聖大附属中学校 第2学年数学科「確率」
「1」が一つ、「2」が二つ「3」が三つの目をしたサイコロを2回振った時の出目の和は2〜6で何が多いのかという問題が主で、その答えを求めるためには試行回数が多ければ多いほど良いということでペアを組ませ、後に集計すると言う流れでした。その集計作業にExcelを使用して画面をホワイトボードへ投影することで、リアルタイムに各ペアからの集計結果を集約することができていた。デジタル教科書や実物投影以外でのICT機器のこのような使い方はみたことがなかったので、是非実習や将来教壇で使用できたらと思いました。


◯基調講演「新学習指導要領の精神と個性化教育」
今年の6月の教育フォーラムに続き、奈須先生の講演は2回目でしたが、ものすごい情報調が一気に飛んで来るので、今回も受け止めるのに必死でした。中でも特に印象に残ったのは、オーセンティックな学習についてです。学習した時の状況に学びが張り付いていて、他の場面において考え方を活用することが出来ないというものでしたが、振り返れば自分が受けてきた授業で解いてきた問全てにあてはまるなと実感しました。数学でいえば、問題を解くのに必要な情報以外の情報も文章題に含めることが大事だと言われていました。実生活には必要な情報だけではなく、不必要な情報も溢れているという状況を文章題に反映させるということに意味があるそうです。ただ文章に現れる数字を使って正しい式を作らせるのではなく、文章中のどの数字を使って、どのような式を立てるのかを考えさせるところが大事だと学びました。


◯分科会E「学習指導の在り方と、個に応じた指導の充実をめざして」
岐聖大附属小・中学校の先生方が学校で実践されている個性化教育の実践例を紹介されていた。しかし、自分自身の考え方がまだまだ未熟なせいなのか、なかなか素直に頷いて聞くことができなかった。理由としては、あくまで岐阜聖徳の教育環境だからこそできていることであって、その方法が一般の効率小中学校に対応しているところが想像できなかったからである。自分のやりたいようにやって、最終的に提出してほしいものだけ提出してもらうという形でやることで、とことん一分野に対して興味関心の深い児童生徒は取り組むことができると思うが、何かに対して特に飛び抜けた興味関心をもてる分野がない児童生徒にとってその教育方法は苦ではないのかと思いました。少なくとも、僕自身は図工などで「テーマは自由です。なんでも好きなように書いていいですよ」などと言われると、全く何も書けなくなってしまう人なので、それを全教科にパッケージ学習として取り入れられるのは非常に厳しいと感じるだろうなと想像してしまいました。児童生徒が自らの学習に躓いたときに先生のもとへアドバイスをもらいにいき、再度学習を進めていくというのは、日本の学校教育全体が個別指導を売りにした塾になってしまうようで・・・
明日22日に今日の議論の続きが行われるということなので、再度個別化教育のお話しを聞いて、自分の中にない新しい教育の概念を取り入れていくことができればと思います。(早川)