研究室日記

小学校教育実習で学んだ3つのこと(榊原)

公開日
2023/10/16
更新日
2023/10/16

学生の学び

 こんにちは、玉置ゼミ第9期生の榊原計人です。私は9月1日から28日までの1ヶ月間、教育実習に行っていました。今回の小学校教育実習、とても楽しい1ヶ月でした。そんな中でたくさんの経験をし、色々なことを学んできたので、今日はその中から私の中で特に大きかった学びを3つ記事に書いていきます。

 1.個人を見ることは重要&難しい
 2.板書計画で授業はスムーズに進む
 3.児童観がないと授業が上手くいかない

1.個人を見ることは重要&難しい

 私は今回の教育実習で、特別支援学級の高学年クラスと5年生の通常学級に配属されました。この特徴の大きく違う2つのクラスで学んだことは、個人一人一人を見ることの重要性とその難しさです。

 私が配属された特支学級は知的の障害のある子がいるクラスでした。同じ教室にいる子どもたちですが、みんな一人一人、特徴や個性が違っていて、それぞれの学習の段階も大きな違いがあります。なので、個人を見ることがなにのり需要であり、それぞれに合った学習の進め方を提案していくことが、子どもの学力を成長させていく上でとても大切になってくると感じました。

 しかし、個人を見ることが重要なのは特支学級だけでありません。通常学級でも個人を見ることは重要ですし、通常学級の子どもと遊んだり、喋ったりと関わっていくなかでどんな子がいるかを見ていました。そんな中で感じたのは、教室に30人近くいるクラスの子どもの特徴・個性を把握することはとても難しいということです。クラスの子どもそれぞれに合った授業展開を考えることなんて、今の私では作れる気がしないとも思いました。

 たった1ヶ月いただけ、それも特支学級と通常学級の2クラスを行き来きしていたので、個人一人一人をしっかりと見て、どんな子かを理解するなんて簡単ではないと思っていましたし、実習が終了した後に、担当の先生から子どもの意外な一面教えていただいて、特徴を新たに知ったなんてこともありました。

 特別支援学級と通常学級の2つのクラスを実習で体験したことで、個人を見ることは難しいことだと知ったと同時に、クラスを持った時は、なるべく早く一人一人を知れるように子どもとの関わり方や授業のやり方を工夫し努力して行こうと思いました。

2.板書計画で授業はスムーズに進む

 今回の実習では5年生の社会を3回(内研究授業1回)、道徳を1回、特支学級で国語と自立の計6回授業を行い、初めての授業を社会の食糧生産の単元で行いました。

 最初の授業では、板書計画を課題や展開部分、まとめをそれぞれ書くスペースや、何を板書するかだけの不十分な計画で練習を始めていました。実際、それで練習しても、子ども役の方の発言を上手く拾えなかったり、発言と発言を繋げることができなかったりと、散々なものでした。

 そこで、担当の先生から「子どもの発言や反応をできるだけ多く考えることが大切」と教えていただきました。それから、板書計画に子どもがどんな回答や反応をするのかをなるべく多く考え、それらを矢印で繋げるところまで考えて練習を始めたところ、子どもの予想外な発言が減り、授業内で焦ることが少なくなりました。そして、狙っていた発言を引き出せる余裕ができたほか、パッと見た板書のわかりやすさも良くなり、導入から展開、終末までスムーズに進めることができました。

 板書計画をスペースや自分が書く内容だけでなく、子どもの反応をなるべく多く考えておくことで、授業内の生徒への対応が上手くいくようになり、ペースを崩すことなく進めることができると学びました。

3.児童観がないと授業が上手くいかない

 5年生で行った道徳の授業は、別クラスで行われた道徳の授業の内容を参考にしました。その授業は、先生が範読してるときに重要だと感じた箇所に線を引くことと、6から8人グループをつくって2つの視点から討論をすることの2つが大きなポイントでした。その授業は流れがとてもスムーズで、終末部分の落としどころも面白く、なにより子どもたちみんなが討論に参加し、自主的にグループを回していました。みんながとても楽しそうで、参観してた私はとても感動したのを覚えています。

 そんな授業を参考にした私の道徳の授業は、教科書に線を引くことが初めでどこに線を引けばいいのがわからない子が続出し、子ども同士の討論も上手く進まず、活動も時間内にまとまりませんでした。授業内で大事にしたかった終末部分は予定よりだいぶ押してしっかりと扱うことができず、もともとの終了時間から5分オーバーして終わりました。このクラスには合わない授業のやり方をやっていたのだと痛感しました。

 この授業での反省は、児童観を意識せず、そのクラスに合った授業を計画しなかったことです。すばらしい授業ならどんなクラスでも通用するものと思っていましたが、そのクラスがこれまでどんな授業を受けていて、どんな活動に慣れているのかを知っておかなければ、子どもたちの学びに繋がらないのだと気が付きました。

 この授業を通して、クラスの子どもがどんな授業を経験をしてきたのかはクラスごとに大きく違うことがよく分かりました。それなのに、同じ内容・進め方の授業をしていては子どもたちの学びにつながりません。これからは、クラスの子ども全員が学びを深めるよう、しっかりとクラスの児童観を考え、それに合った授業作りを意識していきます。


〇1ヶ月間の小学校教育実習の通して

 今回の小学校教育実習でたくさんの子どもと関わって、今までにないことを体験してきました。その中で、いろんな個性の子がいることや、クラスの特色もそれぞれ違うことなどの『小学生』のことと、授業するなかでの板書計画の重大さや、指導案を考える際に注目しておきたいことなどの『授業』のことなど、とても多くのことを学びました。

 最終日には各クラスが私のお別れ会を開いてくれました。5年生のクラスでは、その会の内容から時間の流れの計画を全て子ども主体で行っていたそうで、担任の先生はほとんど準備に関わっていなかったそうなのです。実習期間終了の1週間前くらいから準備を初めていたみたいで、私自身なんとなく察知しており、「なにかバレないようにコソコソやっているな?」と内心でニヤニヤしていたのですが、すべて子どもたちだけでやってきたことを聞いてとても驚きました。それと同時に、そこまでしてくれるくらいに私を『先生』として認めてくれたんだなと思い、嬉しい気持ちでいっぱいになりました。一人一人からメッセージカードもいただき、終わったあとの控え室では、他の実習生に聞かれないよう鼻をズビズビ鳴らしつつも泣くのを我慢しながら読みました。

 特支学級のクラスでは一人一人からプレゼントをいただきました。私の好きなキャラクターのイラストを書いてくれた子や紙飛行機や手裏剣を折り紙で作ってくれた子、お手製のビーズのアクセサリーをくれる子もいました。実習期間中、会話やコミュニケーションをとることがほとんどができず、声さえあまり聞けなかった子からは、みんなからの寄せ書きと、特支クラス全員で撮った写真、そして「ありがとうございました。」の一言をもらい、嬉しさや感動からグズグズに泣いてしまいました。本当にやって良かった、来てよかったと思える素晴らしい1ヶ月間を過ごすことができたと思います。

 次の中学校実習では、小学校とはまた違った子たちがいて、違った刺激や体験ができるのだとワクワクしています。充実した素晴らしい1ヶ月間を中学校でも過ごせるように、小学校で経験したことを活かしつつ、新たなことも学んでいく姿勢で望んでいきます。(榊原)