i-モラル日記

【豊田・上郷中】 「情報モラルを道徳で」

公開日
2010/09/02
更新日
2010/09/02

愛知1200校の取り組み

 中学生がもっている,「ネット上に個人情報が流出したために実際に起きてしまった被害や事件,個人情報が流出する代表的な場面や情報社会で適切な行動をとるために必要な知識」はあやふやなものである。そこで,学級活動と道徳の時間を利用し,必要な知識を身に付けさせた上で,「自分が損をするからという理由ではなく,よりよい社会の実現のために必要だからという理由で,適切な判断をする生徒を育てる。」ことをねらいとした授業を考えた。

(授業の流れ)
 個人情報の定義を伝えた上で,自分の個人情報にはどのようなものがあるかを考えさせることで,個人情報についての基本的な知識を身に付けさせる。また,実際に起きた被害や事件,個人情報が流出する代表的な場面を知らせることで,個人情報を大切にするための適切な行動の仕方についての知識を身に付けさせる。

(導入)
 資料「個人情報は大切なデータ」を見て,知らない人に自分の友達のメールアドレスを教えてしまう主人公の行動を,自分が主人公の友人なら,許すことができるか否か。また,その理由について考えさせる。その際,討論させる時間を設定することで,自分とは違う見方や考え方に気付かせるようにし,考えを深めさせる。

(展開)
 討論の後,再び,知らない人に自分の友達のメールアドレスを教えてしまう主人公の行動を,自分が主人公の友人なら,許すことができるかどうか。また,その理由について考えさせたことで,道徳性の発達段階の向上を図るようにする。

(まとめ)
 学級活動の時間では,必要な知識を身に付けさせるとともに適切な対応ができる生徒を育成する。道徳の時間では,学級活動の時間に身に付けた知識を生かして,情報社会の一員として適切に行動することの意義を考えさせ,よりよい情報社会の担い手になろうとする態度を養うようにする。その際,生徒同士や教師と生徒のコミュニケーションを通して,コールバーグが提言した道徳性の発達段階も参考にしながら,道徳性の向上を図るようにする。

(子どもたちの反応と成果)
 生徒同士や教師と生徒のコミュニケーションを通して,コールバーグが提言した道徳性の発達段階も参考にしながら,道徳性の向上を図ることを意識した実践からは,自己中心的な考えにとどまっている生徒が多いことが分かった。しかしながら,実践を重ねるごとに,確実に道徳性の発達段階が向上することが確認できた。子供たちの反応から,情報モラルの育成に限らず,日常のモラルの育成も含めた道徳教育のあり方についても再考する必要性に気が付くことができた。今後,道徳の時間はもちろんのこと,学校の教育活動全体を通じた道徳教育の充実を図っていきたい。