第5回・愛される学校づくりは…

★このコラムでは、「愛される学校づくり研究会」で発表された実践を掲載します。

【第5回】愛される学校づくりは特色ある学校づくりからPART1
—「夢授業」の実践を通して—
 〜春日井市立味美中学校長 堤 泰喜〜

「本物」との出会い! 「本物」に耳を傾ける! そこから『夢』が膨らんでいく!

本校では、「夢授業」と題して、日本の第一線で活躍をされてみえる方、最新の技術開発をされてみえる方、一流の技能をもってみえる方などをお招きし、その取組の凄さ、技術の凄さ、開発や習得の努力、仕事人としての喜び、人との関わりの喜びなどをお話いただいています。
 そうした人々の話や姿を見聞きすると、生徒は心の底から「凄い!」と感動します。
 こうした感動は、必ずや

  1. 生徒自身の「夢の実現」に向けてイメージを膨らませることにつながる。
  1. 目標に向かって"一歩を踏み出す"契機となる。
  1. 生徒個々に内在する向上心を沸き立たせ、「自律的な生き方」につながる。
  1. 生徒の"知的好奇心"を大きく刺激し、"主体的な学び"へとつながる。

と考えています。

▲吉田紗保里選手と栄監督の授業

生徒主体の運営

「夢授業」では、生徒による「実行委員会」を組織し、生徒の手によって夢授業を企画・運営しています。2時間の夢授業の流し方の立案と当日までの準備、司会・講師紹介・質問・お礼の言葉など当日の運営、暗幕・マイク・写真撮影・ビデオ記録などの裏方の活動、そうした一切合切のすべてを生徒が行います。生徒は、単に講演を聴くという受動的な姿勢ではなく、「自分たちで夢授業をつくりあげる!」という意識で意欲的に取り組み、積極的に講師にかかわります。

▲質問する生徒

生徒の思いを綴る

▲茂木健一郎氏の授業

「夢授業」によって、生徒個々が「感じたこと」「気付いたこと」「わかったこと」を、生徒が自分の言葉で綴る活動も大切です。夢授業の中で積極的にメモをとることを推奨するとともに、統一した形式で感想文を書かせ、それをファイリングして蓄積し、生徒の思いがどのように深まっていくか、その変容を見るようにしています。

多くの保護者を巻き込んで

「夢授業」は、PTA行事「ふれあい教育セミナー」との共催という形で行っています。したがって、毎回、多くの保護者がみえます。多くの保護者を巻き込むことが「愛される学校づくり」につながると考えています。

▲参観する保護者

夢授業講師一覧

<平成19年度>
第1回 水谷 三浩 氏 愛知県がんセンター愛知病院 乳腺科部長 「現在のガン治療最前線」
第2回 岩瀬 孝邦 氏 (財)日本自動車研究所 主任研究員 「未来の自動車FCVを体験しよう」
第3回 青戸 慎司 氏 元オリンピック100m代表 「本物の走りを体感しよう」
第4回 前村 孝志 氏 三菱重工業 宇宙プログラムオフィス長 「宇宙を目指して」
第5回 山中 季広 氏 朝日新聞東京本社 社会グループ次長 「日本語と格闘する」
第6回 水沢 有紀 氏 ファッションモデル 「モデルの喜びと厳しさ」
第7回 神谷 利徳 氏 店舗デザイナー:神谷デザイン事務所代表取締役 「店づくりは街づくり」
第8回 川原 啓美 氏 アジア保健研修財団理事長 「分かち合いの世紀」

 

<平成20年度>
第1回 山路 徹 氏 APF通信社代表 「生きるとは 〜戦争報道の最前線から〜 」
第2回 中村 将之 氏 JRA騎手 「夢をつかむ!〜波瀾万丈!騎手人生〜」
第3回 中田 有紀 氏 女子7種競技選手(日本保育サービス) 「Queen of Athlete を夢見て」
第4回 若林 亮 氏 建築家(日建設計 設計室長) 「時代の接点に建つ建築〜自由な発想で街に活気を〜」
第5回 菊田 浩 氏 ヴァイオリン製作家 「世界最高峰のヴァイオリン製作にかける夢と情熱」
第6回 佐滝 剛弘 氏  NHKチーフ・ディレクター 「テレビ番組はいかにつくられるか、制作にかける思いと苦労」
第7回 南 秀和 氏 国土地理院測図部測図技術開発室 技術開発第二係長 「人工衛星で地図づくり」
第8回 加藤 明 氏 トータル工業デザイナー 「工業デザインにかける情熱」

 

<平成21年度>
第1回 田中 正之 氏 京都大学野生動物研究センター 「動物を知ることは人間を知ること」
第2回 中村 文則 氏 芥川賞作家 「私にとって文学とは」
第3回 本島 修 氏 前核融合科学研究所長 「地上のミニ太陽 〜核融合エネルギーの実現を目指す世界指し先端の研究〜」
第4回 吉岡 康典 氏 陸上・ボブスレー選手 「経験して知ろう」
第5回 相田 一夫 氏 相田みつを美術館長 「いのちの根 〜相田みつをの書と言葉〜」
第6回 茂木健一郎 氏 脳科学者 「生活の中で脳を生かすには」
第7回 井原 慶子 氏 レーシングドライバー 「レースにかける情熱」
第8回 水野 宏樹 氏 プロマンガ家 「プロマンガ家としての苦労と喜び」

 

(2010年12月27日)

●堤 泰喜
(つつみ・たいき)

1984年教員生活スタート。教諭20年(中学校11年・小学校9年)、春日井市教委指導主事3年、教頭2年を経て、現在、春日井市立味美中学校長1年目。学生時代は、男声合唱団に所属していたが、現在は全く音楽とは無縁の生活。熱狂的な「巨人ファン」で、プロ野球のテレビ観戦でストレスを解消している。