1107 道徳授業(特別講師)
- 公開日
- 2023/11/07
- 更新日
- 2023/11/07
お知らせ
本日は、「子どもの心に響く道徳教育事業」を利用して、特別講師に講話をしていただきました。
これは、全国的に御活躍する著名人を講師に、「目標に向かって努力してやり抜くことの大切さや夢を実現したことの喜び」などの体験を語っていただく北海道教育委員会の事業です。
今回は、パラリンピック水泳の背泳ぎ選手、小野智華子さんをお招きし、Zoomで繋ぎながらご自身の体験を語っていただきました。。
小野さんは帯広市出身。未熟児で生まれ、未熟児網膜症のため、全盲となられました。
3、4才頃から水に親しみ、視覚障がい者水泳競技の道へ。地元の養護学校から札幌の高校に進み、今まで多くても2人だった学級が一気に5人になり、大人数のよさに触れ、友だちもいて楽しかったとのことです。
でも水泳を続け、2009年アジアユースパラゲームズで100m背泳ぎ・50m自由形・100m自由形で優勝。それ以来、2012年ロンドンパラリンピックでは100m背泳ぎで8位入賞から、現在に到るまで活躍されています。
たくさんの経験を語ってくれました。
高校3年で出場したロンドンパラリンピックでは、注目が集まり、まわりの人の視線や応援を意識するあまり、本番で緊張してしまい、思った力を発揮できなかったこと。毎日が練習漬けで水泳が嫌になったこと。
鍼灸の学校を目指そうと考えたが、模擬試験で成績が低く水泳の練習どころでなく勉強の打ち込んだが、あんなに嫌いだった水泳の大事さ、頑張る大切さに気付いたこと。
せっかく進学した鍼灸の学校は、残念ながら水泳プールはなかったが、12mの水槽を改造して作ってくれて練習を続けられたこと。あんまの資格を取って手に職が付いたこと。2016年リオデジャネイロ、パラリンピックでは、緊張している自分を自覚し、以前よりは落ち着いて参加できた。現地スタッフの優しさに支えられて、水泳をのびのびすることができた。
2020年、東京パラリンピックが新型コロナでで1年延期になったが、練習で他の選手に接触して転倒、腰の靱帯を悪くしたこと。何もできない自分が嫌で少しよくなったら無理をしてまた痛めてしまったこと。腰をケアする専門家に出会い、あんまを学んだ自分が、自分の体もケアする大事さも学んだこと。中国の選手が出場できなかったことで、パラリンピックに出場できた。
2023年、世界選手権(イギリス)、アジアパラ競技大会(中国)の日本代表に選考された。中国の選手も出てきて、若い日本人の選手も出てきて焦りはある。でも、昔のような早いタイムは出ないが、安定したタイムが連続するようになった。
経験から言えることは、うまくいかないときは、それを文章化し、その背景を探ってみること。これをするだけで、モヤモヤした気持ちが少し整理できる。また、たくさんの人の支えられて今がある。練習でもタッピングの方(水泳でターンをする際、タイミングが分かるように自分の体の一部をたたいてくれる方)に支えられている。たくさんの人にお世話になって今があること。これを大切にしていきたい。
質問も出されました。(先生3、生徒1、もっと出せるようにしたいですね。)
(1)文章化するそうですが、目が見えない中、どのようにやっているのですか? →スマホを使って、話したことを文章化してくれるアプリがあるのでそれを使っている。
(2)水泳以外で達成したい目標はありますか? →あまりないが、あんまと鍼灸でお世話になった先生をケアしてあげたい。
(3)落ち込んだときに、どうやって立ち直れるようにしていますか? →音楽を聴く。いいイヤホンを買って、少し音量を大きくして、自分の世界を作っている。
(4)目が見えないことで研ぎ澄まされる感覚はありますか? →勝手に優れていると考えるのは、聴覚と嗅覚です。遠くの方で、お菓子を食べているのも分かります(笑)
Zoomでの講演ということもあり、小野智華子さんも一方的に話してくださいました。こちらの反応をうまく伝えられず、申し訳なかったなと思います。でも、話を聞くうちにどんどん吸い込まれ、目標に向かって努力する大切さを感じました。
パリオリンピックの選考会は来年の1月。背泳ぎの小野智華子さんを応援しましょう!