1024 コミュニティースクール学習会
- 公開日
- 2023/10/25
- 更新日
- 2023/10/25
お知らせ
先日、日刊宗谷にも記事が載りましたが、昨日「コミュニティースクール学習会」を、町総合交流施設「どんと」で行いました。
コミュニティースクールとは、「地域に開かれた学校、地域とつながり学びを広げる学校、地域に愛情をもち次の担い手を育てる学校」として、学校運営協議会や学校支援地域本部などを設置している学校です。
利尻町では平成29年、開校した利尻中学校に学校運営協議会が設置されました。将来的には2つの小学校とも連携し、統合した組織にできるよう、利尻中の学校運営協議会が主体となり、本学習会を実施しました。
講師は、北海道子どもセンター事務局長の柳 憲一先生。過去に枝幸小学校長だったときに、学校運営協議会と学校地域支援本部を立ち上げた経験がある先生です。
講師の先生からは、大きく5つのことを教えてもらいました。
(1)学校からこういうことをやりたい、ということに対して地域が関わることからスタートする。求めに対し、身近な大人が応答し、時には褒められ叱られて、地域の子は育っていく。子どもたちをどう育てていくかを地域の大人が話し合っていくことが大事。
(2)話し合いは、組織という箱が大事なのではなく、話し合いの主体を「子ども」で始めること。子どもが現在どんな状況にあるか。どんな生活、学習をしているか、子どもたちがどんな風に育ってほしいか、を丁寧に議論すること。そして誰もが参加できて、話ができる組織が望ましい。
(3)地域から応援されていることは、子どもたちにとっては大きな道徳の教材になる。「私たちの町はいいなぁ、応援されているなぁ」が大人・地域に対する信頼感となる。(途中、小学校教員が前任校の中頓別町の例を紹介。地域応援隊で協力してくれた菓子店が、今では宗谷で愛される有名なお店となった)。よい人づくりが地域作りにも繋がる。
(4)コミスクは社会教育事業ともつながる。社会教育は、地域の趣味などのサークル活動も多い。社会教育が学校支援も担うと、サークル活動が脅かされる危惧もある。だが、そのサークル活動に子ども立ちが参加すると不思議と元気が出る。そんな形で地域が学校を応援すると、先生方の負担にはならない。知恵を使って、地域と繋がることが大事。
(5)学校運営協議会は、中学校区(区域)単位で設置されることが多いが、小学校・中学校が1本の線になることが多い。そうすると、中学校は小学校に対して「学力を付けてきて下さい」、小学校は中学校に「小さな子のお世話をして下さい」という,互いをうまく利用しようという悪い弊害が起きる。
それを防ぐためには丁寧に議論をして、子どもたちの実態や学校のニーズに合う支援の仕方、地域のことが分かって学校文化も大事にするためのコーディネートやコーディネーターの配置が大切。このベクトル(方向性)を大事にすれば、コミュニティースクールは大事なツールとなる。
参加者は25名。町内3つの小中学校教職員、PTA役員、学校評議員、保育所の所長、教育委員会の教育長、課長が出席し、グループ協議を行いました。
○現在でも、各団体と学校を繋ぐコーディネートは可能。今は学校単体で行っている活動を、学校支援地域本部にまとめることは、学校の数も少ないのでやりやすいのではないか。
○子どもたちと地域が関わり合える機会を作っていく。職業体験→学校だけで探すと限界がある。地域と相談できる。
○利中では、仙中太鼓が郷土芸能に残っているが、先生で教えられる人がいない、どのように指導していくか、地域の人で出来る人、伝統をつなげる人がいないかを探してもらいたい。
○過去には、凧上げ、凧づくりの取り組みもあった。地域と町教委で連携して企画し、学校に紹介してもらっていた。今は「若葉」がその取組になっている。先生や保護者以外の大人との関わりを進めたい。
○自分の子ではなくても、少年団でもいいのでは。学校との連携があってもいいのでは。
○総合的な学習に地域と繋がりたい。様々な考えの人との出会い、コミュニケーションの輪を広げる。
○ソーランの指導にも役立つ。歴史や成り立ちを感じて踊ることでよい効果がある。
○学校VS地域の構図になっているので、コーディネーターが間に挟まってワンクッション置けばよくなる。学校の先生方が自宅と職場の往復だけで市民感覚をなくしている。余裕がなくなっている。自己満足している。
○「教育は結果だ」と求められるが、長期的な視点が必要。
○先生方の苦悩を知ることが出来ました。(地域の方)
○利尻の地域というテーマでは、近くに海があり、特産物や特性を体験させたい、してほしい。いかに大人が仕掛けるか。大きな目で支えていく協力が必要で、音頭を取り人がいないと行けない。働いている大人も忙しくて対応も難しい。
○先生方の意識を「◯◯学校に勤めている」から「◯◯町に勤めている」に変えると、町で子どもを育てるという意識になるのでは? 地域との繋がり方や活用の仕方のアイデアも出てきそう。
○小中学校、地域で夢のある話をする場を作りたい。誰かが理想(未来や願い)を語って、それを共有し、それに向かってみんなで進むとやりやすい。
○学校の壁を壊す=「いつでも来て下さい」のいつでも、を分かりやすく。地域の人が学校で過ごせるような場を。
○先生も地域の一員として参加すること、市民感覚を持つこと。でもそのためには、余裕がないといけない。学校と家の往復ではいけない。
小と中を一緒の組織にすることが目的ではなく、地域と学校がよりよく繋がること、子どもを出発点に、丁寧に議論することが大事だと分かりました。
これからも、丁寧な論議を進めていこうと考えました。柳先生、参加者の皆様、本当にありがとうございました。