モラルBOX日記

【新城市立鳳来西小学校】地域の方と共に創り上げる学芸会

公開日
2015/11/29
更新日
2015/11/29

ちょっといい話

  • 2339616.jpg
  • 2339617.jpg

https://asp.schoolweb.ne.jp/2340010/blog_img/10511020?tm=20240815153205

https://asp.schoolweb.ne.jp/2340010/blog_img/10519115?tm=20240815153205

 10月に、「今年の学芸会は戦争のことを劇にしてみよう。」と子どもたちに投げかけたところ、子どもたちからは「えー」「本当に」など否定的な答えが返ってきました。しかし、あらかじめ用意しておいた台本を渡すと、「ここは、変えた方がいい。」「ここのせりふは○○さんが、話してくれた通りにしよう。」とたくさんの意見が出てきました。実は、6月に実施した学校公開日(共育の日)に、子どもたちは2人のおばあさんから、豊川海軍工廠の話を聞いていたからです。
 おばあさんたちは、決まっていた就職先への夢を断たれても「お国のために」と思い働きに出たこと、鉄砲の弾である薬きょうを検査するときに手の上で転がしながら検査したこと、食事は大豆のかすなどで貧しかったことなどについて、質問に答えながら話してくださいました。特に昭和19年8月7日に爆撃され、2500人もの犠牲者が出た日の話は、想像を絶するものでした。
 子どもたちは、真剣なまなざしで話に聞き入っていましたが、それ以上に反応があったのは、一緒にいた保護者の方たちでした。
 子どもたちが関わりの深い地域の方から話を聞いたことで、戦争を他人事としてとらえず、より身近なこととして感じることができ、実話を通して得られる臨場感に命の大切さを学ぶことができました。
 子どもたちの意見や、再度お話をうかがって書き変えられた台本を元に、劇の練習が始まりました。特に、自分たちでこだわった所は、爆撃の日の場面です。足にくぎが刺さっても走って逃げる演技について意見を出し合ったり、防空壕に逃げた人も爆撃により土が崩れて生き埋めになってしまったという場面を再現するために、防空壕の小道具を作ることを考えたりと積極的に取り組んでいきました。そして本番では、体育館にいきいきと演じる子どもの声が響きました。
 本校では学芸会の後「にこにこ会食」が行われます。これは、地域の方、保護者・子どもが一緒になって五平餅を焼き、食べる行事です。このとき、保護者からは、「劇はとてもよかったよ。感動したよ。」と声をかけていただきました。「6月の学校公開日に話を聞いているから、よけいに感じるものがあった。」という方もみえました。親子で共に平和について考える貴重な機会をもてたことを実感しました。
 また、地域のお年寄りの方からは、「昔のことを思い出したよ。」「地域のことを劇にしてくれてありがとう。」と子どもたちに声をかけていただきました。
 6月に話をしてくださったおばあさんは、以前は「みんなの前で話なんてできんわ。」と戦争について語ることをためらっておられました。しかし、子どもたちが自分の話を真剣に聞いてくれたことや、劇にして自分たちの思いを代弁してくれたことにとても満足していただけたようです。
 そして、何よりうれしかったことは地域の人の話を取り入れて子どもたちと一緒になって作り上げることができたことです。地域の歴史や文化を伝承する子どもたちを育てていくことができたと感じています。