モラルBOX日記

【岩倉市立南部中】修学旅行での一コマ

公開日
2016/08/10
更新日
2016/08/10

ちょっといい話

 修学旅行1日目は、班別の分散学習で都内を電車で移動するという行程になっていました。ある生徒が乗った電車には、小さな女の子とそのお母さんが乗っていました。ほどなく女の子がぐずって泣き始めました。
 すると、その様子を見た生徒は、女の子の側に近づき、笑顔で声をかけて、あやし始めました。女の子は、なかなか泣きやんではくれません。でも、その生徒は笑顔であやし続けるのです。
 引率教員としてその様子を少し離れた席で見ていた私は、心の中で「もういいよ。ありがとうね。お母さんに任せたらいいんだよ」と思っていました。子どもが泣くのは当たり前。でも、その当たり前のことを理解せず、「泣きやまないのは母親が悪いんだ」と冷たく言い放つ人もいます。それに比べて、「あなたはよくやってくれた。もう十分だよ」とその生徒に言ってあげようと、私は席を立とうとしました。でも、ちょうどそのとき、その小さな女の子はぴたっと泣くのをやめ、笑ったのです。

 その後、親子は目的の駅で電車を降りていきました。そのとき、お母さんは、生徒に深々と頭を下げ、何度も「ありがとう」と言っていました。
 「困っている人がいたら助けてあげよう」、日頃から生徒に語っている言葉です。でも、私にとってこの言葉は、困っている人に対して、上から目線で、「自分のやれる範囲だけやってあげるよ」という意味が込められていたのです。「困っている人を助けてあげたい」というこの生徒の純粋な思いに、心を動かされた瞬間でした。