モラルBOX日記

【岡崎市立北野小】小さな演奏会

公開日
2012/12/10
更新日
2012/12/10

ちょっといい話

 北野小学校3年生の学芸会の練習は,1学期の終わりころからはじまりました。合唱を2曲,合奏を2曲取り入れた音楽劇です。リコーダー,鍵盤ハーモニカを中心にして,オルガンや,鉄琴,木琴,小太鼓,大太鼓などといっしょに合奏をします。合唱は3年生にしてはやや難しいと感じるもので,上手にできるかどうか不安な気持ちがありました。
 一人一人の演奏する楽器を決めて,しばらくしてからそれぞれの楽譜を配ったとき,どの子も真剣な眼差しで楽譜を見ていました。学年での合同練習が進む中,休み時間に個々に練習する子供の姿がみられるようになりました。
 2学期になり,学芸会本番の日が近づいてくるにしたがって,個々に練習する子供たちが,2人であわせて練習するようになり,それがやがて3人になり,さらに4人,5人,6人にと,徐々に数を増やし,最後にはクラスのほぼ全員の子が練習の輪に入っていました。
「いれて。」
「いいよ。入って。」
「リコーダーが少ないから,入って。」
「鍵盤ハーモニカの人,入って。」
 練習している子に自分から声をかけて,仲間に入って練習する子。練習している子から声をかけられて,仲間に入って練習する子。何も言わずに,楽器を手にして練習の輪に入っていく子。様々な形で練習の輪は広がって行きました。リコーダーや鍵盤ハーモニカの個人練習からはじまって,いつしかオルガンや太鼓の子も加わり,指揮者もやりたい子が進んでやって小さな演奏会のようになっていきました。
 ある朝,教室に向かう私に,階段ですれ違った同僚の教師が,
「先生が,練習するように言ったんですか。」
と声をかけてくださいまいた。
「いや。何も言っていません。」
と笑顔で答え,演奏の流れてくる教室へと向かいました。
 ある日,そのころの気持ちを子供たちに聞くと,
「みんなでやると,楽しい。」
「指づかいを教えてもらえて,うれしい。」
「合わせたときのほうが,やる気が出る。」
「指揮をしてくれたので,テンポよくちゃんと合わせてきれいにできた。」
などの意見が出ました。
 学芸会に向けての音楽の練習を通して,演奏する楽しさ,合奏する楽しさに目覚め,お互いに声を掛け合ったり,教えあったりしながら,技能を高め,ともに成長していった子供たちをうれしく思いました。