モラルBOX日記

【豊橋市立牛川小】 6年間を見通した情報モラル教育の実践

公開日
2015/01/23
更新日
2015/01/23

情報モラル教育実践(モラルBOX掲載用)

本校では,情報を扱う際に必要な判断力と心構えを身につけるために情報モラルに関するカリキュラムを作成しています。そして,1年生から6年生までの6年間を通して,情報モラル教育に必要な2分野5領域のすべての能力が身につくように実践を行っています。このカリキュラムでは,低学年では具体的な情報モラルより,道徳の内容にある心を育てていくことが大切であると考え,道徳の時間を中心に,一般的なモラルの指導を進めてきました。(心を磨く)中・高学年では,実体験も取り入れながら,心の面だけではなく知識としても身につけられるようにしました。(知恵を磨く)


○第1学年 道徳「いたずらがき」〜情報が広がる怖さに気づき,よく考えて行動しよう〜
 学校生活にも徐々になれ,学習が進むにつれ,話す力や聞く力も少しずつ身についてきた1年生の児童は,友達との会話が弾み,さまざまな情報をやりとりするようになってきました。教室内では,週の予定表や当番表を確認し,情報をとらえて行動できる子も見られるようになってきました。こうした情報を正しく理解したり,伝えたりする力を学級全体に広め,高めていきたいと考え,道徳「いたずらがき」の資料を使って授業を行いました。本題材は,ちょっとしたいたずらのつもりで書いた落書きのせいで,友達のとらおを傷つけてしまったかばきちの話です。黒板という情報を記す道具に書いたために,その情報が他へ広がってしまった内容です。授業後の感想からわかるように,児童は主人公かばきちの気持ちに深く共感し,友達を傷つける行為を慎み,周りの人のことを考えて生活していこうという心情を高めることができました。

○第5学年 総合的な学習「チャット体験をしよう」〜情報社会を賢く生きよう〜
本校では,H24年度から毎年,高学年(4年生〜6年生)の児童に「メディアアンケート」を実施しています。アンケートの結果,「家庭でのコンピュータ保有率は80%以上」「ゲームやインターネット,音楽や動画利用が多いこと」「自分専用の携帯電話を持つ児童が年々増えていること」などがわかりました。今後,携帯電話を所持したり,掲示板やチャットなどの匿名によるコミュニケーションを行ったりする機会が増えることが予想されます。そこで,インターネットを使うときのコミュニケーションのマナーやモラルを身につけてほしいと願い本実践を行いました。
見えない相手とのコミュニケーションのとり方を学ぶために,「つたわるねっと」のチャット体験を利用しました。はじめに,実際に一人ずつチャット体験をさせ,同時に複数の人と会話できる楽しさを味わわせました。そして,グループでチャット体験をしました。その中でチャット荒らしを登場させ,トラブルに巻き込まれるという疑似体験をさせました。チャット荒らしが登場したときには,「怖い」「腹がたった」「つられて関係のないことを書きそうになった」「相手がわからないので,悪い言葉で返してしまった」などという意見が出されました。その後,匿名だと思っていても個人を特定できることを知らせるために,グループ名入りの履歴をスクリーンに映し出しました。「名前はわからないと思っていたけどわかるんだ」と驚く児童が多くいました。授業後,「言葉にまどわされないことが大切」「便利なのでルールを守って使っていきたい」「書き込む文章をちゃんと考えて使いたい」といった意見が多く出され,正確な情報を得て,賢く使っていこうとする気持ちを高めることができました。
 6年間を通した情報モラル教育の実践を行うことで,児童の心は着実に育ってきています。今後も児童の実態に応じて「情報モラル教育カリキュラム」を修正し,継続した指導をしていきたいと思います。