【安城市立東山中学校】我慢して待つ母の姿から
- 公開日
- 2015/10/07
- 更新日
- 2015/10/07
ちょっといい話
中学3年生の2学期も中盤、いつかどこかであったような、進路決定に向けた自宅で行った三者懇談のことです。
家での悪さが収まらない男子の母親が、担任の前で懸命に息子を諭していた。父親の言うことも聞かなくなって困り果てているという。進路希望を尋ねると平然と「スポーツ推薦で」と答え、悪びれもしない。父親が「そんなことでは推薦に値しないだろう」と言っても、どこ吹く風といった風情。
父親は置かれていて飲まずにさめたお茶を、息子の顔にぶっかけた。
「お前は一体どういう人間なんだ!」
けれどもますます不満げな表情をするばかりで、ろくに言葉も話さない。
すると母親は、黙って泣きながら立ち上がり、モップと雑巾を取って戻り、床に飛び散ったお茶を静かに拭き始めたのである。
「お前は今、自分がお茶をかけられたことばかり、恨みに思っているだけだろう。黙って床に手をついてその後の始末をしているお母さんがどんな気持ちか、お前は何にも分からないだろう!!」
その言葉を聞いたとたん、男子は号泣しながら謝った。「ごめんなさい!!自分が悪かったです!!」
「先生、今日が勝負の日です。何とかしてやってください!」と、あらかじめ両親から頼まれていたからこその大勝負。勝利の原因は担任の言葉などではなく、母親の、全てに耐え、信じ切って待つ姿にあっただろう。
その後は、言うまでもなく自分の進路を突き進んでいった。