モラルBOX日記

【刈谷市立刈谷南中】感謝の気持ちをもって

公開日
2016/06/06
更新日
2016/06/06

ちょっといい話

 以前、総合的な学習の時間に「自分史をつくろう」という授業を行ったときの話です。自分の生まれた頃の出来事について、お父さんやお母さん、おじいちゃんやおばあちゃんなど身近な人たちに聞きながら自分史づくりを進めました。その後の自分の歴史年表を発表する授業では、「家で小さい頃の話を聞いていたら、アルバムを出してくれました。そのアルバムを家族で見て、いろいろな話をしました。何だかとても懐かしくて温かい気持ちになりました」と感想を話す生徒もおり、とても優しい雰囲気に包まれた授業になりました。

 ある程度、自分史づくりが進んでいくと、自分たちの生活が様々な人たちの支えによって成り立っているということが分かってきました。そこで、クラスのみんなで、どんな支えがあるのか書き出してみることにしました。黒板に書かれた意見を見ながら、「改めて自分は一人で生きているのではなく、家族、友達、先生、先輩、地域の方々など、いろいろな人に支えられて生きているんだなと思いました。私を支えてくれている人たちに感謝したいです」と、多くの生徒たちが感想を話しました。

 そんな中、生徒たちは、「ありがとう」をテーマにした講演を聴く機会がありました。講演者は、自分のこれまでの経験談や映像(ありがとうを伝えられぬまま、大切な人を亡くしてしまった人の話)などをもとに、全力で「感謝の気持ちを伝えることの大切さ」を教えてくれました。生徒たちは、この講演を、目に涙を浮かべながら真剣に聴いていました。講演後の生徒たちの感想には、「話を聴いて、泣いてしまいました。もっともっと感謝の気持ちを言葉にして伝えたいと思いました」「今はまだ、父や母の目を見てありがとうって言えないけど、なるべく早くそう言いたいです」「私は、これから・・・いえ、帰ったらすぐに感謝の気持ちを伝えます」などの言葉があり、生徒たちの心が動いたことが分かりました。

 自分史づくりが完成する頃、生徒たちは日頃の感謝の気持ちを大切な人に伝えるための「サプライズ計画」を立てました。「サンタさんみたいに、お父さんとお母さんの枕元にプレゼントを置こうと思っています」と笑顔で楽しそうに話す生徒や、「うーん、何をあげようかな」と悩む生徒、みんな真剣に相手のことを考え、思いやっていました。
 そして、サプライズ計画を実行する日が来ました。その次の日、どうだったかと生徒たちに聞くと「めっちゃびっくりして泣いてたよ」「プレゼントは渡したけど、ありがとうは言えなかった」など、思い思いにサプライズの様子を話してくれました。うまく感謝の気持ちを伝えられた生徒も、結局感謝の気持ちを伝えられなかった生徒も、それぞれが周りの人のことを考え、感謝の気持ちをもつことができました。数日後、学校に一本の電話が入りました。「先生、娘が、結婚記念日のお祝いにと大きな花束をプレゼントしてくれたんです。お小遣いは、好きなものに使いなさいって言ってたんですけど、全部使っちゃったみたいで。びっくりして聞いたんです。どうしたのって、そしたら、“ありがとう”って言って。そのときは、何も言えなかったんですけど、本当にうれしくて…」この電話を受け、心が温かくなりました。人に感謝をすることの大切さを生徒の姿から改めて学ぶことができました。