モラルBOX日記

【岡崎市立福岡中】駅伝部 チームワーク

公開日
2017/02/07
更新日
2017/02/07

ちょっといい話

 駅伝部の練習中のことでした。駅伝部員は、2週間後の10月22日に行われる西三河駅伝大会に向けて練習を行っていました。その日のメインの練習は、ビルドアップというメニューでした。これは、周回するにつれて1周のラップタイムを上げていく、駅伝部の練習の中でも厳しいメニューでした。それは例えば、1周200mを最初の5周は、48秒、6周から10周は46秒、11周から15周は44秒というように、終盤に向けて1周のタイムが短くなっていくので、後半になればなるほど辛くなっていくメニューです。
 このメニューでは、後半にチームのペースについていくことができずに、脱落してしまうことがよくあります。それぞれの自己ベストタイムに応じて、A〜Dチームなどに分かれており、当然、練習の中で自己ベストが上がれば、チームが一つ上に上がります。また、各チームの先頭は、そのチームの中で最も力のある者が務めることが多く、つまり、Aチームの先頭となると、その学校のエースということになります。
 その日の最後のメニュー、ビルドアップの中盤から、Aチーム先頭の選手が苦しそうな走りになってきました。しかし、さすがはエース、気持ちも強く、遅れそうなそぶりは何度も見せながらもよく粘り、残りもあと3周となりました。「そのままいけるか? 最後までがんばれ!」と後ろを走りながら思っていたその時、ついにわずかに遅れ始めたのです。もうとっくに限界だったんでしょうね。気持ちでなんとかここまで走っていたんです。「エースといえど、調子がいい時もあれば、悪い時もある。今日はよくがんばった。あとは無理せず、チームから離れて3周走ればいい。いや、よほど駄目なら、やめてしまってもいいよ」などと多くの人が思っていました。ところが、彼女のすぐ後ろを走る後輩の女の子がその動きに反応します。すっと手を伸ばして、わずかに遅れたその子の腰を押しました。遅れ始めた3年のエースの子の腰を、自己ベストでははるかに及ばない子が押したんです。「あともう少しです。がんばりましょう!」と、そんな意味でのサポートであったと思います。その勇気ある後輩の手に励まされたエースは、頑張りました。やや力強い走りになり、残り3周をチームの先頭で走り切りました。 
 西三駅伝大会では、3年のエースの子は、1区を自己ベストに近いタイムで、いつもどおりに走りきりました。腰を押した2年生の女子もBチームで満足いく走りであったようです。自分が走り終わったら二人とも仲間を一生懸命応援し、サポートしました。
 「仲間っていいね。駅伝もすてきです」
 こんな言葉が聞こえてきそうです。