【豊川市立西部中学校】ネットの記事
- 公開日
- 2019/02/26
- 更新日
- 2019/02/26
情報モラル教育実践(モラルBOX掲載用)
今回は、「ネットの記事」という問題解決的な学習の教材を使って授業を行った。本時のねらいは、生徒に「真実は何か」を常に見極めながら、正しい情報を取捨選択して、ネット社会でよりよく生きていけるようになってほしいというものである。
教材の内容は、主人公が大好きなミュージシャンとその家族を誹謗(ひぼう)中傷する内容のネット記事を見て、その信ぴょう性を確かめないまま、そのミュージシャンのファンである友達にその情報を伝えてしまう。すると友達は、「あなたは、インターネットの記事のすべてを信用するのね」と、すごい剣幕で怒り、その場を去っていく。不安になった主人公は、記事について調べ直し、信ぴょう性を確かめていった。結局、記事の内容は真実ではなかったことがわかったというものである。
授業では、まず、今回の問題点は何かについて意見を出しあった。生徒たちは、「信ぴょう性を確かめなかった主人公が悪い」「不確かな情報を友達に流している」といった主人公の行動を問題視する意見が多く出た。教師が、「では、主人公はどうすればよかったのだろう」と聞いた。生徒たちは、「情報を確かめたら本当のことがわかったのだから、疑問に思ったことはそのまま信じず、調べることが大切」「友達に謝って許してもらう」という意見が出た。そこでまた教師が、「今回は、たまたまうその情報だったけれど、調べたら本当の記事だったとわかったら、どうなっていただろうね」と問うと、生徒が悩んだ。グループで話し合いをさせた後で意見を聞くと、「友達と言い合いになり、けんかする」「友達に謝ってもらう」といった主人公を擁護し、友達を批判する意見が多く出てきた。その中で、ある生徒が、「今回の記事がうそか本当かはわからないけれど、私だったら、友達がそのミュージシャンのファンだってわかっているなら、その記事のことは教えないと思う。だって、もし教えたら、その友達は傷つくことになると思うから。人が傷つくようなことはしたくない」と話した。ほかの生徒たちも、「情報を受ける人のことを考えたらそうするのが一番だよな」と同意した。
生徒の振り返りを読むと、「大切なのは情報が正しいかどうかだけでなく、情報を受け取る人の気持ちを考えて行動すること」「私も前にSNSで、友達に嫌な思いをさせたことがあった。そのときは、友達の気持ちを考えていなかったと思う」といった自分の行為を見直す意見がでた。
今回の授業を通して、生徒たちは、情報を扱っているのはあくまでも人であり、人の気持ちを考えて行動することが大切だということに気づいた。生徒同士で話合いをしていく中でそのことに自分たちで気づいたことは驚きだった。これからも問題解決的な学習展開を工夫しながら、生徒たちに情報モラルの大切さを実感してもらいたい。