【豊田市立衣丘小】子どもたちの実態に即した道徳の情報モラル教育の実践
- 公開日
- 2013/06/28
- 更新日
- 2013/06/28
情報モラル教育実践(モラルBOX掲載用)
携帯電話の普及が進んできた近年、その波は小学校の中高学年の児童にも及んできている。それは「興味があるから」という理由だけではなく、下校後一人で家にいる子どものために、習い事の帰りに薄暗い道を歩いてくる子どものために、つまり子どもの安全を気にする家族の思いがあり、携帯電話を所持している小学生が増えてきている。
そこで、4年生(1クラス34人)の子どもたちに携帯電話に関するアンケートを実施した。その結果、「携帯電話を持っている」と答えた児童が40%でおよそクラスの半数弱が所持しているということが分かった。また、その中で「メールの機能を使ったことがあるか」という問いに対して48%の児童が「使ったことがある」と答えた。「携帯電話を持っていない」と答えた児童も、その中の83%は「携帯電話がほしい」もしくは「迷う」と答えた。
「メールをどんなときに使うか」の回答をみると、家族間での使用がほとんどだが、中には友達同士での連絡手段として使用している児童もいた。また、持ちたいと思っている児童の多くはその理由を「携帯電話(メール)はとても便利なもの」と答えている。確かに、携帯電話はとても便利な道具であり、今の生活から携帯電話をなくすということは考えにくい。多くの人が使っている、また子どもたちがこれからどんどん使うだろうものだからこそ、正しく使用してその便利さを感じてほしいと思った。
アンケートの結果から子どもたちの実態が把握できた。そのうえで、道徳の授業として、携帯電話の「メール」に着目した自作資料を使って情報モラル教育を行った。とても便利な「メール」。いつでも伝えられ、文字として残しておける「メール」。しかし、文字でしか気持ちを伝えることができないという落とし穴についてクラスで考えた。
【資料】
《たくまは明日、お父さんと野球に使うシャツを買いに出かけます。そのことを思い、ワクワクしていると、まさるからメールが届きました。「明日、10時からみんなで練習をするからたくまもおいでよ。」自主練をしたい気持ちは十分ですが、明日は用事でいけません。そこで「ぼくはいいよ」と返事をしました。まさるからは「OK、じゃあね〜。」と返事がきました。次の日、たくまは予定通りお父さんと買い物に出かけました。その後、なぜかまさるは、たくまが話しかけても返事をしてくれません。その理由を考えていたたくまは、ハッとあることに気付きました。》
たくまはどんなことに気付いたのか。意見を出し合ったところ、
「かんちがいしてる。」「たくまは行けないって言いたかったんだ。」「まさるには『行ってもいいよ』だと思えた。」「明日は用事があるからと、理由を言えばよかったのに。」「メールはしゃべらないから、同じ言葉でもしっかりと意味が伝わらないんだ。」などの意見が出た。中には「たくまが約束をやぶったから。」という意見もあり、文字だけでは十分に伝わらないという場面が授業の中でも実際に起こった。
将来的には、ほとんどの子が使うようになるであろう携帯電話。もちろん便利な点はたくさんあるが、正しい知識と使い方や、見えない相手を気遣う大切さを知ったうえで、十分に便利さを感じてほしいと願っている。
【授業後の子どもたちの感想】
・分かりやすく伝えることが大切。
・相手に伝わるように、文の意味が分かるように打つ。
・今回だったら「やめとくよ」とメールをする。
・2つの意味がある言葉を使うときは、内容を詳しくするといい。
・実際に発音が相手に伝わらないから、そのことを考えなければいけない。