後期に入り、教室に花を飾ることになりました。クラスのＡさんに「花の水やりをお願いね」と頼んだところ、Ａさんは快く引き受けてくれました。時は過ぎいつしか花は散り、鉢植えは緑の葉っぱだけになっていました。そろそろ片付けようかなと思いはじめた頃、Ａさんはまだ水をやり続けていました。私に頼まれたことを自分の役割と考え、今でもきちんと水をやり続けているのだと私は思いました。Ａさんに「ありがとう。花が散ってしまったね。もう片付けようかな。」と話すと、「何で。花が咲いてほしいから、今まで水をやり続けていたのに」とＡさんが答えました。Ａさんは自分の役割を果たそうと水やりをしているわけではなく、花のことを思って、水やりをしていることに私は気付かされました。花のことを思っていなかった自分が恥ずかしくなりました。その鉢植えは生徒の思いが届いて、一輪の花をつけています。生命の強さと尊さを感じるとともに、Ａさんから優しい心根とこの地球に生きるものとしての気高さを教えられた気がします。