モラルBOX日記

【刈谷市立平成小】「最下位でも1番」

公開日
2016/04/26
更新日
2016/04/26

ちょっといい話

 卒業が間近な頃、隣のクラスからの挑戦を受けて学年ドッジボール大会を開催することになった。学級を4チームに分け、全8チームでトーナメント戦を行った。どのチームも優勝を目指し、意気揚々とセンターラインに並んで挨拶をした。

 しかし、試合が始まってみると、どう見ても他のチームとの力の差を感じるチームがあった。そのチームの中心人物は、運動能力が高く、負けず嫌いなA君だった。同じチームの子が当てられる度に、A君の表情は少しずつ曇り、チーム全体の雰囲気も沈んでいった。当然、そのチームは下位チームのトーナメントに進んでいった。しかし、暗い表情をしていたA君の表情はだんだんと変わっていた。同じチームの子を励まし、チームの子が運良く当てることができると、自分のことのようにガッツポーズをとっていた。その様子につられるように、チーム内に笑顔が出るようになってきた。

 最終戦、最下位を決める試合は、なかなかの接戦だった。普段はドッジボールをしないチーム内の子供たちも、精一杯動いて戦った。結果は僅差で敗れたが、チームのみんなはとても楽しそうで、満足した表情であった。

 閉会式では、司会者が結果発表を3位までで終えようとすると、「最後まで発表してください」というリクエストがあった。そして、第8位の発表で、A君はどのチームよりも大きな歓声を上げ、メンバー同士でハイタッチをしていた。その様子を見て、周りの子供たちから自然に大きな拍手が起きた。その盛り上がりは、最下位でも1番だった。A君のリーダーとして成長する姿をうれしく思う場面だった。

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