モラルBOX日記

【瀬戸市立品野中学校】 発問を工夫した授業実践

公開日
2019/10/01
更新日
2019/10/01

道徳科の授業実践(モラルBOX掲載用)

 道徳科の授業を進める上で、授業者は、発問についての悩みが常にあります。そこで、一つの授業を教員みんなで考える「学び場」という機会を設け、授業者が前もって考えた発問をみんなで話し合いました。
 教材は、3年生の「父の一言」です。この教材は、「上野動植物園の臨時職員の私が、正規職員採用試験に不合格となり、挫折して郷里に帰ることになる。母は喜んで迎えてくれたが、3日目に父から言われた『・・・おまえのカワウソが寂しがっているぞ・・・』の一言で、動物を飼育する者としての責任に気づき、自分のとった行動を情けなく思い、動物園に戻る」というものです。
 この教材を通して、「父が私に対して発した言葉の意味を考えることを通して、責任をもつことの大切さを自覚し、責任を全うしようとする態度を育てる」ことをねらいとした授業展開を考えました。まず、導入では、「責任をもつことは大切ですか」と問いかけました。この発問に対して生徒は、「大切である」と答えました。次に、「あなたは自己の行為の結果に責任をもつことができていますか」とテーマ発問を行いましたが、「できていない」「場合による」と多くの生徒が答えました。これによって課題への意識付けができました。
 教材を読んだ後、「本当は私に、父は何と言いたかったのだろうか」と中心発問をしました。この発問に対して、生徒は真剣に考えていました。「責任を果たしてから帰ってこい」「仕事に責任をもて」「こんな所で自分だけ落ち込んでいないで早く帰りなさい」など、それぞれの思いを語っている姿が見られました。また、班の中で「責任ってそもそも何?」というねらいにつながるつぶやきも聞かれました。 
 最後に、道徳的判断力を育てていきたいという思いから、「自己の行為の結果に責任をもつために何が必要でしょうか」と問いかけました。振り返りには、「責任をもって行動すれば相手を傷つけないし、自分も相手も気持ちがよくなると思う」「私は、たまに自分の行為の結果に責任をもたず、理不尽なことをしてしまうことがあるので、自分のことだけでなく、周囲への影響も考えて行動していきたい」など、ねらいに迫るものが見られました。
 授業を作っていくためには、多くの教員でアイディアを出し合い、より多くの発問を考えていくことで、ねらいに迫る発問や、多面的多角的な考えを引き出せる発問が見つかっていくと実感できました。