モラルBOX日記

【岡崎市立常磐南小学校】漢字に思いをこめて

公開日
2019/12/18
更新日
2019/12/18

道徳科の授業実践(モラルBOX掲載用)

 本教材「漢字に思いをこめて」は、小学校3年生の道徳科の教科書に掲載されている。家族への思いを、漢字一字にこめるとしたら、どの漢字に、どんな気持ちをこめて伝えたいのかを考え、カードを作る。自分の作ったカードにこめた思いを発表したり、友達の作ったカードを見せ合ったりすることで、家族愛を深めることがねらいである。
 授業の導入で、「いつもお世話になっている家族に対して、伝えたい思いはありますか」と尋ねた。大勢の子供たちが挙手をして、家族に対しての感謝の思いを発表した。そこで、「漢字一字を選び、思いをこめてカードを作ってみませんか」と言うと、「作りたい」と言って、子供たちの意欲が大きくわいた。どんな漢字を選ぼうかと、子供たちは真剣になって悩み、考えていた。色鉛筆やペンを使ってカードを作成した。もらった人が見やすいように、いろいろな色を使ったり、お母さんの笑った顔の絵を描いたりして、それぞれが工夫をしてカードを作成した。
 特に、児童Aは、誰よりも真剣にカードを作成していた。渡したい相手は、祖父であった。祖父は、最近体調を崩し、入院をしているようであった。祖父の体を心配した児童Aは、祖父の回復を願い、再び一緒に楽しく生活できることを望んでいた。カードには、「願」という字が大きく書かれ、まわりには祖父の笑顔や海で釣りをしている絵などがいくつも並んでいた。
 カードが完成すると、子供たち同士で、カードにこめた思いを発表し合った。児童Aは、「このカードを作っていたとき、ずっとおじいちゃんのことを考えていました。おじいちゃんはいつも本当に優しいです。けれど、最近、体調を崩しました。おじいちゃんに元気が出るようにと思いをこめて、『願』という字を選んでこのカードを作りました」と発表した。振り返りカードには、「自分たちは、家族に支えられて生きている。これからは、家族の一員としてお手伝いをして協力していきたい」という記述が多くみられ、家族愛の深まりが感じられた。
 後日、児童Aが、カードを渡したときの様子を、母親から連絡を受けた。児童Aは、「おじいちゃん、ぼくは、勉強をがんばるから、早く元気になってね」と言ってカードを渡したとのことだった。また、祖父は、このようなカードを児童Aから初めてもらったことや、自身の回復を願っていることに感動し、「本当にありがとう。おじいちゃんもがんばるよ」と声をかけたようである。そのことを児童Aに聞くと、「もっとおじいちゃん孝行したい」と話してくれた。このような児童の心を揺さぶる授業実践を、今後も続けていきたい。