モラルBOX日記

【西尾市立室場小】心に灯をともす

公開日
2014/12/04
更新日
2014/12/04

ちょっといい話

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6月12日、今年も3日間の「ホタルガイド」が始まった。校区の山にある「平原ゲンジボタルの里」で、ホタル観賞に訪れるお客さんに、ホタルについての豆知識や観賞マナーを紹介するボランティア。代々6年生が引き受ける。

2日目。
A君の班は木道の散策路でガイドをしていた。テーマは、「ホタルの一生」。ホタルは成長とともに棲む場所を変えていくという説明の後に、復習クイズを出した。
「ホタルのさなぎはどこにすんでいるでしょう。正解だと思うところに、このさなぎの絵をはってください。」
A君が作ったさなぎのカードを高く上げながら、B子さんが1年生のC君を指名した。C君は恥ずかしそうにパネルの前まで出てきた。B子さんからさなぎのカードを受け取ると、少し考えてからパネルに貼ろうと手を伸ばした。
そのとき、さなぎのカードがC君の手から離れ、木道の隙間から沢に落ちてしまった。
「あつ!」
その場のみんなの驚きと落胆の声が漏れた。その声にC君はびくっとして、こわばった表情で立ち尽くした。ほかの6年生はあわてて木道の隙間からカードを探した。カードは見えていてもすのこ状になった木道では、取ることはできない。
あたりがざわついてきた。
すると、次の瞬間、
「C君、だいじょうぶだよ。それでC君はどこに貼ろうと思ったの。」
A君はC君の目の高さで、優しく聞いた。C君は小さな声でパネルの「水の中」を指さす。
「正解です。」
A君の声があたりに明るく響いた。同時に、C君の表情もぱっと明るくなった。とっさのひとことで、その場にいた人たちの心にぽっと灯がともった。ホタルの光を見ていやされたときのように。

とっさのひとことには、その人の人となりが正直に表れる。心にぽっと灯をともしてくれる、そんなひとことの言えるA君。彼の優しい人柄が表れた瞬間であった。