【岡崎市立河合中学校】命の尊さを考える道徳科授業
- 公開日
- 2020/01/08
- 更新日
- 2020/01/08
道徳科の授業実践(モラルBOX掲載用)
本校では、道徳教育で、互いの意見を十分に討論し、「生命の尊さ」とは何かを自分なりに考えることができる生徒の育成を目標としている。今回は、臓器移植をテーマに生命の尊さを考えていく。事前アンケートでは、約6割の生徒が臓器移植に対して、「よく考えたことがない」と答えている。しかし、4割の生徒は、「新聞で読んだことがある」「臓器提供への登録などを家族と相談したことがある」などの意見があった。さらには、「脳死や臓器提供を知っていますか?」の質問に対して、「今は詳しくは知らないけれど、知りたい」「勉強をしたい」などの意見が多かった。命の尊さを考えることで、命を軽んじる発言を減らし、他者を見つめ直し、一つだけの命の大切さを深く自覚させたい。
この教材には、親が子に当てた手紙が書かれている。その子は脳死しており、親が臓器提供をする結論を出すまでの苦悩が描かれている。資料を通して、臓器移植とは、生命の尊さとは何かを考えていく。生徒は、この教材を学ぶことで、「命にいつか終わりがあること」「その命が失われることは取り返しがつかないということ」「命はずっとつながっていること」などを学ぶことができると考える。特に、命とは、生徒個人だけのものではなく、連続性があり、親や子、その他の人たちも互いに支え合って生き、生かされていることに気付くことができる単元である。生徒が命の大切さに気付くことができると考える。
授業では、生徒に、「生命の尊さ」を身近に感じるために、「もし、自分が脳死になったら」と導入で投げかけた。中には、「自分が死んでしまったらどうでもいいだろう」と話す生徒がいた。しかし、親、移植コーディネーター、提供する側、提供される側の苦悩などの視点から資料を提示することで生命の尊さについて考えを深めていった。
効果的であった手立ては、実際にドナーカードや運転免許証を見せたり、臓器移植に関する法律クイズを行ったりすることで、臓器移植に対して現実感をもたせることができた。また、教科書の「命が生まれるそのときに」「三百六十五×十四回分の『ありがとう』」を事前に学ぶことにより、生命の尊さをより横断的に考えることができた。さらに、生徒の心の動きを観察し、生徒の心を揺さぶることができた。特に、資料「娘の臓器提供を実際に行った母親」の動画は、生徒全員の心を揺さぶることができた。