【犬山市立犬山中学校】道徳科の授業実践「ハゲワシと少女」
- 公開日
- 2020/03/10
- 更新日
- 2020/03/10
道徳科の授業実践(モラルBOX掲載用)
教材「ハゲワシと少女」を使用し、授業を行いました。本教材は、報道カメラマンである主人公が、アフリカのスーダンで痩せこけた少女に近づくハゲワシの写真を撮影し、「報道か人命か」で論争が起こっていくという資料です。
導入では、「ハゲワシと少女」の拡大した写真のハゲワシの部分を隠し、何が隠れているかを考えました。答えが分かり、資料を読み進めるうちに、生徒たちは内容に徐々に引き込まれていきました。
展開では、「スーダンの現状」「ピューリッツァー賞の獲得」「世間からの絶賛と批判」「主人公の自殺」などの資料を提示し、「報道か人命か」についての議論をしました。生徒は、議論が進むたびに級友の意見に揺さぶられ、葛藤すると同時に、ジャーナリストである主人公に自分自身を重ね合わせ、深く考えました。授業の最後には、この悲惨な状況は世界のどこかで行われていることではなく、日本でも虐待のような子供を取り巻く悲しい状況が起きていることに着目し、自分の考えをまとめました。
生徒は、「確かに写真によって、スーダンの深刻さを伝えることができ、少女も助かっている。しかし、他の手段で世界に現状を伝える方法があったのではないか。何よりも人命が優先されるべきだと思う」「一枚の写真により多くの人が飢餓に苦しんでいることに気づき、写真から影響を受けて平和活動を行う人が増えれば、この写真は意味のあるものになる」と述べました。どちらも命を救おうとした行為であると捉え、生命を尊重する道徳的心情を深く掘りおこすことができました。