【尾張旭市立旭中】あ!あぶない
- 公開日
- 2012/09/24
- 更新日
- 2012/09/24
ちょっといい話
「あ!あぶない」。朝、プールの用意を忘れ、家に取りに帰る途中のAさん(2年生男子)が思わず叫んだ。一匹の迷い犬が、車道に走り出たため車にひかれそうになった瞬間であった。それは、蝉が鳴き始めた7月初めの朝の出来事であった。
Aさんは、車にひかれそうになった犬を抱きかかえ、無事だったことにほっとし、その犬をあらためて見た。首輪とバンダナをしていることから、飼い犬が逃げ出してきたに違いないと思い、プールバッグをあきらめ、犬を連れて近くの家を一軒一軒たずね歩いた。
しかし、飼い主は見つからず、途方に暮れて犬を抱きかかえながら、学校に登校したAさん。外の大時計を見たら8時30分。それは「遅刻」になる時間であったが、自分のことよりも、一匹の迷い犬を守りたい、飼い主に戻したいという強い気持ちが、Aさんを突き動かしたのだった。
犬を連れて遅れてきたAさんに、外で生徒たちを出迎える教師たちは「何を連れてきたんだ」といぶかしげに声をかけたが、朝の出来事をAさんから聞くとその行動を理解し、「あとは任せなさい」とAさんを笑顔で教室に送った。
迷い犬は、市役所が対応してくれるが、飼い主が見つからない場合は、悲しいことにもなりかねない。その場合のことも心配しながら、Aさんから得た情報をともに市役所に届け出た。飼い主が、この犬を捜していてほしい、見つかってほしいと一番願っていたのはAさんに違いないが、タイムリミットが迫ってきていた。
翌週火曜日の夕方、市役所から、飼い主が見つかったという嬉しい知らせが学校に飛び込んできた。犬の命が助かったことへの安堵とうれしさからの「よかった」の声が職員室に広がった。飼い主さんかその日の夜、学校にお礼にみえ、車にひかれそうになったところを助け、飼い主を一生懸命捜したAさんのことを伝えると、感謝の言葉をたくさん残していかれた。次の日、Aさんに伝えた時の、心の底からうれしそうなAさんの笑顔が忘れられない。