【瀬戸市立品野中】みんなが消してくれた不安
- 公開日
- 2012/12/10
- 更新日
- 2012/12/10
ちょっといい話
A子さんが交通事故にあったのは、6月下旬のことだった。横断歩道を渡っている時に、気がつかなかった自動車にはねられたのだった。幸い、命に別状はなかったが、入院生活を長く強いられることになった。
学級では、すぐに生徒たちが動きはじめた。「ノートを余分に取って、彼女に渡してあげよう」「お見舞いに行こう」「千羽鶴を折ろう」「ビデオレターを送ろう」などなど。予想もしなかった彼らの動きを、学級担任としてうれしく見守っていた。
実は、私が最初に彼女のお見舞いに行った時、とても気になることがあった。それは、彼女の抱える二つの大きな不安だった。一つは、いつになったら前のように学校へ通えるようになるのだろうかという不安。もう一つは、長い間学級から離れることで、みんなから忘れられてしまうのではないかという不安だった。そして、自分にも学級担任として、どうすればよいだろうという不安があった。
A子さんは、長い入院生活によく耐え、退院した。その間、学級の生徒たちが送ったビデオレターや千羽鶴が、授業のノートが、彼女の不安をどれだけ和らげたか知れない。修学旅行では、A子さんの周りに車いすを押してあげる生徒、松葉杖をとってあげる生徒の姿があった。その中ではにかむ彼女の笑顔に、もう不安はなかった。