モラルBOX日記

【豊明市立沓掛中】生徒の一言

公開日
2013/03/13
更新日
2013/03/13

ちょっといい話

 生徒が発した何気ない一言が、今も私の心に残っています。
 それは、9月の体育大会での一場面です。
 本校では、体育大会の種目に綱引きがあります。本校の体育大会は、各種目を基本的に縦割りのブロックで戦いますが、綱引きに関してはクラス対抗で戦います。しかも、試合数は、各クラスたった2試合ずつしかありません。そのため、どのクラスの生徒も担任も、気合いを入れて1戦に臨みます。どんな並び方で、どんな体勢で綱を引けばよいのか、どのクラスも真剣に話し合っています。
 私のクラスは、初戦でかなり苦しみました。それでも生徒の頑張りで何とか1勝することができました。初戦を終えて、生徒たちに、「1勝できたことがうれしいこと、そして、このクラスでもう1勝したいこと」を話しました。「何としても勝ちたい」という気持ちが私の心の中にはありました。
 運命の2戦目。生徒の顔は必死でした。その表情を見ることができただけでも幸せだと思います。ただ、結果は「負け」。試合終了の合図が鳴ったとき、私は悔しさで生徒に何も言葉をかけられないまま、戻っていく生徒を眺めていました。そんな情けない私の目の前で、一人の女子生徒がこう言いました。
 「先生、負けちゃってごめんね。」
 その一言とその時の彼女の表情が今も忘れられません。もしかしたら、何気なく発した一言だったのかもしれません。しかし、彼女の一言から、周りの人を気遣える温かさを感じ、1勝したいという思いを生徒と共有できたという実感を覚えることができました。