【武豊町立富貴小】「筆跡のちがうノート」
- 公開日
- 2013/12/26
- 更新日
- 2013/12/26
ちょっといい話
12月に入ってまもなく、2学期の成績付けのために、子どもたちの社会科のノートを集めてチェックをしていたときのことです。
整った字のノート、ちょっとだけらくがきのあるノート、イラスト付きでまとめられたノート、どのノートも書いた子どもの個性と一生懸命さが伝わってくるものばかりでした。その中で、1冊のノートのあるページが目に止まりました。一人の男の子のものです。もともとやることが丁寧な子で、ノートの字は整っていました。でも、何かがちがうのです。あるページが明らかに別の子の筆跡なのです。不審に思い、よく見てみるとページの端に「ここからは○○(女子児童の名前)が書きました」と書いてありました。クラスの女の子です。「この子たち、授業中にふざけ半分でノートを交換して書き合ったのかな」と思いました。二人ともまじめな子なのに、どうしてこんなことをしたんだろうと考えました。続けて名前の書かれていた女の子のノートも点検してみました。しかし、こちらには男の子の字で書かれたページはなかったのです。それどころか、女の子の書いた同じ内容のページがちゃんとあるのです。ますますわからなくなってしまいました。
ひょっとしたらと思い、出席簿を調べてみたら、女の子がノートを書いた11月5日、ノートの持ち主である男の子は病気で欠席していたのです。やっぱり、そうでした。男の子が病気で欠席した11月5日、隣の席だった女の子が誰に頼まれたわけでもなく、休んだ男の子のために二人分のノートをとっていたのです。二人分のノートをとるのは、大変だったでしょう。それを、誰にも告げず、進んでもくもくと彼女はやったのです。私は、その光景を頭の中で思い描きました。誰も気がつかない間に生まれた優しさに、胸が熱くなる思いがしました。