【岩倉市立南部中学校】自己を見つめ、よりよく生きようとする子どもを育てる道徳教育
- 公開日
- 2020/02/17
- 更新日
- 2020/02/17
道徳科の授業実践(モラルBOX掲載用)
本校では、現職教育の主題を「知をひらく」とし、全職員が一丸となって授業づくりの研究に取り組んでいます。「知をひらく」とは、いまだ知らない新しい知と出合い、それを自分の中に取り込みながら何かを認識し、知を広げていくことで、「今日の自分」が新しい知と出合い、他者と知を交流させながら、「昨日の自分」を「明日の自分」に拡大していく知的な営みのことです。以下に、グループ内での学び合いに意識をおいて行ってきた、本校の道徳の授業実践を紹介します。
3年生では、教科書「とびだそう未来へ」の「家族の思いと意思表示カード(自他の生命の尊重)」を教材にし、授業実践を行いました。教材の文章に入る前に、導入でドナーカードの存在と意義、そして脳死の定義について確認しました。その後、中心発問の「あなたにとって大切な人が脳死状態になってしまったら、臓器提供を認めるか」という問いを投げかけました。グループ内で、「本人の意志をどう考えるべきなのか」「残された家族だけで決めてもよいものなのか」「他人の体の中で家族が生きていくということを肯定的にとらえるべきなのかどうなのか」など、様々な観点から考え葛藤し、多くのことを話合う姿が見られました。
中には、脳死を本当に死んでいる状態としてとらえていない生徒も一部おり、「命を奪っているのに近い感覚を抱いてしまう」「意識が回復する可能性も現代の医療ではゼロではない」などの意見が挙がりました。教材を読んだ後にも、再度、話合いをし、「実際に、その場面に立たされた場合、自分ならどうするべきなのか」「ドナーカードを所持していなければ、家族としてどう判断するか」など、議論を進めていく中で、考えは深まっていきましたが、なかなか立場を決められない生徒もいました。いろいろな意見を受け止めて自分なりに考え、立場を最終的に変えていった生徒も中にはいました。
授業の終末には、「あなた自身は、ドナーカードにどのような意志表示をしていきたいか」「命を大切にするとは、どのようなことか」という二つのことについて、自分の考えをまとめさせました。すると、8割以上の生徒が、臓器提供をしていきたいと意思を表しました。
授業の感想には、「自分の命の一部が、誰かの命を救うことになるのであれば、ぜひ臓器提供に協力したい。それが命を粗末にしないということだ」という意見や、「自分のように、恵まれた環境で命を脅かされずに暮らしていけることに感謝し、自分に与えられた生をしっかりと全うしていくことが大切だと思った」という言葉が書かれていました。
今後も、生徒同士の学び合いを中心とした道徳科の授業を通して、生徒が自己の生き方をより深く見つめられるようにつなげていきたいと考えています。